パナソニックの選択
これからの数十年、どんな企業が未来を切り拓き、利益を上げながら成長していくのか?
パナソニックが出した答えは、人類の生存に欠かせない環境という市場をターゲットに選ぶこと、そして、その市場でクラウドを活用することだ。
パナソニックは、情報にかかるコストがどんどん安くなれば、資源利用の少ない消費形態を創造できると考えた。水やエネルギーなどを加速度的に安くなり続ける情報コストに置き換えれば、より少ないコストで、より多くの顧客価値を生み出すことができる。安価な情報を利用して人々の行動様式を変え、グリーン革命を推進する。
現段階で個人や企業が購入しているのは「グリーン」ではない。彼らが買っているのは、様々な形となって表れるキャッシュやコスト改善というメリットである。今後のパナソニックブランドは、グリーンがキャッシュにどのような効果を生むのか、顧客にいかにうまく示せるかにかかっている。
グリーンがキャッシュを生む
三洋電機の加西グリーンエナジーパークには「スマートエナジーシステム」(SES)と呼ばれる精巧な監視システムがある。SESは、建物のエネルギー消費を常時モニターし、わずかな変動をキャッチする。これを太陽電池や燃料電池、蓄電池などの電源に適合させることで、リアルタイムにすき間コストやキャッシュのムダを見つけ出す。
SESの未来は、スマートフォンやタブレット、コンピュータさらには自動車と同様に、ユーザーが管理できるあらゆるグリーンアプリケーションを集めた表示盤だ。世界中の企業や消費者がそれを利用するようになる。
グリーン革命のメリットは「キャッシュを考える」ことにある。クラウドはグリーンをリアルタイムでかなりの額のキャッシュに変えられる。このようなエコプレミアムを創出・管理するには、顧客教育が重要になる。
グリーンのコンセプト
パナソニックのグリーンのコンセプトは3つ。
①創エネ:ソーラーパネル、燃料電池
②蓄エネ:携帯電話から自動車や家庭までのバッテリーシステム
③省エネ:最少のエネルギー使用
これら3つの要素をエネルギーマネジメントシステムで連携させ、最適なソリューションを提供する。但し、ソリューションの提供は、単体製品を販売することとは根本的に異なる。これに対応するため、パナソニックは藤沢市、天津市などの都市で「スマートタウン」の実証実験を行う考えである。
この技術の用途は、住宅にはじまり、ビル設備、店舗、電力会社にまで及ぶ。パナソニックはグリーンという分野において、これまでに経験したことのない「新需要の創造」と、消費活動を牽引し、利益をもたらす市場の開拓を実現できる環境を整えた。