リストラ、グローバル化など、環境変化の激しい21世紀におけるキャリアの課題と解決策を提示している。
事業撤退、倒産、リストラによって、これまでのキャリアが全く役に立たなくなるリスクがある。これからどのようにキャリアを形成していくべきかを論じている。
■21世紀のキャリア環境
21世紀のキャリア環境は、次の2つが同時進行する点を特徴とする。
①想定外変化によって生じる予期せぬキャリアチェンジ
日本経済はもう右肩上がりには成長しない。そうなると、事業や人員のリストラなど、思い切った手を打たざるを得なくなる。また、グローバル化の波によって、従来のビジネスモデルや求める人材像の大きな変更を迫られるような変革が起きている。
②専門性の細分化深化
今起きている変化によって、多くの分野で深い専門性が求められるようになってきた。
この2つはある意味矛盾する。想定外変化に対応するには、スーパー・ジェネラリストになれば良い。深い専門性が必要であれば、一生をかけて1つの専門性を深堀りすればいい。しかし、2つが同時に進行すると、専門性の深堀りをしてる間に、その専門性が必要でなくなってしまう問題に直面する可能性がある。
このような環境では、会社任せではなく、自分でキャリアを切り開く「キャリア自律」が求められる。
21世紀のキャリア環境は、想定外変化への対応と専門性の深化が、2つ同時に進行する。しかし、この2つは矛盾しており両立が困難である。専門性を深めている間に、想定外変化により、その専門性が必要なくなるリスクを伴う。
このような環境においては、次の3点が重要である。
①キャリアの目標を先に設定するのではなく、大体の方向性のみで、正しいと思うことをやり続ける。方向性も柔軟に修正していく。
②普遍性の高い能力を蓄積していく。つまり、地アタマを鍛える。
③自分らしい仕事観を確立する。
著者 高橋 俊介
1954年生まれ。慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科 特任教授 1978年大学卒業後、日本国有鉄道に入社。1984年プリンストン大学工学部修士課程を終了し、マッキンゼーアンドカンパニ-東京事務所に入社。 1989年に人事組織コンサルティング会社である米国のワイアットカンパニーの日本法人ワイアット株式会社(現タワーズワトソン)に入社。1993年に同社代表取締役社長に就任。 1997年個人事務所ピープル ファクター コンサルティングを通じて、コンサルティング活動や講演活動、企業の人材育成支援などを行う。 2000年慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科教授に就任。個人事務所による活動に加えて、藤沢キャンパスのキャリアリソースラボラトリーを拠点とした個人主導のキャリア開発や組織の人材育成についての研究に従事。 2011年から現職。
TOPPOINT |
週刊 ダイヤモンド 2012年 5/5号 [雑誌] |
日経ビジネス Associe (アソシエ) 2012年 05月号 [雑誌] |
週刊 東洋経済 2012年 6/23号 [雑誌] |
週刊 東洋経済 2012年 8/4号 [雑誌] 明治大学教授 野田 稔 |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
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第1章 21世紀のキャリア環境とは | p.13 | 20分 | |
第2章 21世紀のキャリア 三つのポイント | p.35 | 27分 | |
第3章 キャリア形成の実際と課題 | p.65 | 43分 | |
第4章 仕事観形成の歴史 | p.113 | 13分 | |
第5章 これからのキャリア教育と採用就職現場 | p.127 | 33分 | |
第6章 企業の人材マネジメントはどうなるのか | p.164 | 48分 | |
第7章 社会人教育のこれからのあり方 | p.217 | 17分 | |
第8章 働く個人はどうすべきなのか | p.236 | 5分 | |
第9章 人と組織のプロフェッショナルはどんな本を読むべきか | p.242 | 10分 |