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2012/07/15更新

異端力――規格外の人物が時代をひらく(祥伝社新書283)

157分

2P

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日本仏教を発展された異端者たち

日本という国の「文化の祖型」には、多神教的なコスモロジーがあり、本質的には雑多な思想を受け入れる土壌がある。日本では「はみ出し人間」が宗教の歴史を綴ってきた。

①聖徳太子
当時の人は、神道しか知らなかったため、インドで生まれた仏教という「邪教」を受け入れれば、国に災いが起きると憂えていた。そういう状況で、仏教を国家の中枢に据え付けるという聖徳太子には、相当の覚悟があったはずである。

②空海
当時一つしかなかった大学に進学するほどの秀才だった空海は、あっさり大学を辞め、山林修行を行う。社会からドロップアウトしたはずの空海は、なぜか31歳の時に留学生として遣唐使船に乗り込む。帰国後の空海は、真言宗を完成させる。これは中国仏教のコピー版に近かった奈良仏教を、国風の平安仏教へ転換させるという重大な意味があった。

③法然
鎌倉時代以前の仏教の主流は、エリートを対象にしたもので、おいそれと誰でもお寺の門を叩くことはできなかった。ろくにお経も読めない庶民は、もう一度、生まれ変わってこないことには、とうてい救われないと諦めていた。そういう考え方が常識になっている時代に、法然はナムアミダブツを唱えるだけで、誰もが救われると断言した。

④日蓮
日蓮は、元寇のような国難が次々とやってくるのは、念仏信仰など間違った宗派を幕府が支持しているからだと、正面から批判した。つまり、他宗派の批判をしながら、国政の非をついた。権力者から危険視された日蓮は迫害に遭う。しかし、現代日本では、日蓮の教えがいちばん影響力を持っている。

異端力を高めよ

異端とは本音と建前の関係でもある。本音の割合が高まるほど、異端度が高くなる。国家であれ、個人の人生であれ、本音と建前が大きく乖離していることは、不幸である。その両者を引き寄せ、少しでも重ね合わせた部分で、物事を運んでいくのが、人間にとって幸せなことである。

21世紀は、前世紀で作り上げた「型」を崩す時代。政治でもビジネスでも、古いやり方が通用しなくなってきた。そのことに早く気付いて、我が道を歩み出した人が勝ちである。アマノジャクなぐらい人と違うことをするのが良い。

異端度が高いほど、風当たりの強い人生を送ることになるが、自分の本音を生き切って、最後に笑って死ねれば万々歳である。世間の物差しで人様の人生を生きるのではなく、自分の物差しで自分の人生を設計し、周囲に妥協しすぎることなく、楽しく生きていくのが、あるべき異端の姿である。

但し、どこまでも本音を押し通し、欲望を全肯定しても自堕落な生活に陥る。人間の欲望を認めつつも、それに適度なブレーキをかけようと呼び掛ける、仏教でいう「少欲知足」の精神こそ、極めて賢明な生き方である。