ビジネスモデルの特徴
①路線は短距離に絞り込む
就航は、飛行時間で1〜4時間程度の比較的短い路線に絞り込んでいる。短い路線には、鉄道やバス、フェリーといった様々な手段で移動している旅客が多く、その中には航空に取り込める可能性がある需要がある。
②使用する機種(旅客機の種類)は1種類に絞り込む
ほとんどのLCCは、使用する旅客機の機種を1つに揃え、座席あたりの価格が割安な小型の機体を選んでいる。座席数が少ないと高い搭乗率を実現しやすくなる。
③航空機の稼働時間を多くする
航空機の購入は、高額な投資となる。しかし、1日に多くの回数を飛ばすことができれば、1便あたり、1座席あたりの機材費を割安にすることができる。
④2地点間の単純往復運航
LCCのほとんどの路線は2地点間を単純往復するものばかり。そのため、旅客の乗り継ぎや荷物の移し替えといったことを考慮しないで済む。
⑤機内の座席を多くする
LCCでは、1機の航空機で運べる座席の数を、可能な限り多くしている。座席はすべてエコノミークラスで「自由席」とするのが普通。
⑥サービスを絞り込んで単純化する
LCCではあらかじめ公表した内容のサービスのみを、てきぱきとこなす事に徹底している。
⑦混雑していない第2の空港を使用することが多い
多くの航空会社が利用し混雑するハブ空港を避け、不便であっても、航空会社の誘致活動に熱心な第2、第3の空港を選択している。こうした空港は乗り入れ費用が安い。
⑧機内サービスの廃止や簡素化、有料化
機内では、利用客に無料で提供するサービスは基本的にない。
⑨自社ホームページを使ってのネット販売
予約や購入代金の支払いは、原則として旅行会社等を通さず、直接取引する。この販売方法が、LCCの収入を最大化するのに大きな効果を発揮している。
⑩積極的に売る付加サービス
機内での軽食やアメニティ、預かり荷物などに付加料金を課し、収益を上げている。
成功のための2つの公式
LCCの成功の秘訣は「ビジネスモデルの特徴」の中から導き出される2つの公式にある。
①低コストの公式
少ない費用÷多い座席数 → 超低コスト
・小型の短距離機だけに特化し、選択と集中を行う。
・機材を単一機種に絞り込み、各業務を単純化している。
・機内清掃時間や整備時間、搭乗時間を短縮し、機材の回転率を高めている。
②高搭乗率と利益の公式
多い収入-少ない費用 → 利益
・十分魅力ある低運賃であれば、他の交通手段を利用している人々を呼び込める。
・低運賃で、既存の航空界社から旅客を奪うことができる。
・超低価格で話題をつくり、費用をかけずに宣伝する。
・追加サービスによる付帯収入を重要な収益源とする。