江川エリは、老舗の中堅食品メーカー雪見食品に入社後、営業を6年経験して、経営戦略室に配属になった。しかし、江川エリは「戦略」に関する知識がなく、「インスタントお好み焼き」という新商品の企画で大失敗をする。その後、MBAを保有し戦略の専門家とされる上司の牧野から指導を受け、経営戦略、マーケティングについて学びながら、新しい商品企画に携わっていく。
経営戦略において大切なこと
①会社の得意領域を事業ドメインとせよ
雪見食品は、食品に強い会社である。ヒト、モノ、カネ、情報、チャネル、5つの経営資源を有効活用できる得意分野で、新製品や新規事業を行った方が成果につながりやすい。
②競合他社と差別化できる点を考えよ
他社が先行している分野で新製品を出すなら、シェアを奪いとれる差別化が必要。逆に他社が全くやっていない、潜在的な需要がある新製品をつくれば、市場で優位に立つことができる。差別化を打ち出すには、「コアコンピタンス(競争力となる強み)」をうまく使うこと。雪見食品の場合、食肉加工で創業したから、肉製品が強み。また、冷凍食品は評判が高く、シェアも高い。
③4Cを意識せよ
戦略を考えるには顧客(Customer)、自社(Company)、競合他社(Competitor)、チャネル(Channel)を意識し、全体的に考えることが大事。
④トップ・オブ・マインドを目指せ
最初に消費者が思い浮かべるメーカーや製品のことを、トップ・オブ・マインドという。例えば「掃除機といえばダイソン」。トップ・オブ・マインドとは、お客さんがブランド力を感じているということ。モノが売れない時代、トップ・オブ・マインドを目指さなければ、成功できない。
⑤選択と集中をせよ
新規事業をやるには、オンリーワンを目指すべき。差別化をするには、「やらないこと」を決める。重要度が低いものは切り捨てる。
⑥ランチェスター戦略を活用せよ
局地戦、一点集中が弱者の戦い方である。どんな市場、どんな製品分野に絞れば、ナンバーワンになれるのかを考えることが大事。
中国で2000円のハンバーガーを売る
江川エリは、中国のお金持ちに対し、高級冷凍ハンバーガーを売ることを企画する。雪見食品の強みである肉と冷凍技術を生かし、オンリーワンの製品を作る。
中国にマクドナルドが進出したのは1990年。20年以上経って、ハンバーガーは国民食の一つとして認知されている。中国の大都市では、贅沢品の牛肉は人気。そこで知名度のある松阪牛を材料とし、ジャパンプレミアムをアピールする。
テストマーケティングは上海で行う。値引きは一切せず、上海の百貨店の他に、インターネットによる販売も同時に行った。マスコミを呼び試食会を行い、販売は目標を達成した。