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2012/06/24更新

一億人に伝えたい働き方 無駄と非効率のなかに宝物がある (PHP新書)

115分

6P

  • 古典的
  • トレンドの
  • 売れ筋の
  • すぐ使える
  • 学術系
  • 感動する
  • ひらめきを助ける
  • 事例が豊富な

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サトーカメラ

栃木県でチェーン展開するカメラ販売店サトーカメラの宇都宮本店は、まるで無駄と非効率のかたまりのような店である。しかし、この店こそ栃木県最強のカメラ店なのだ。宇都宮は、コジマ、ヤマダ電機、ケーズデンキ、ヨドバシカメラなど大型店が構えてしのぎを削る激戦区である。しかし、サトーカメラの栃木県カメラ販売シェアは14年連続1位、デジタル一眼レフの販売シェアは県内で60%以上に達する。

サトーカメラ店内には、至るところに手描きのPOPや大量の写真が貼り巡らされ、それらが異常とも言えるほどの密度感と熱気を醸し出している。お店では、効率を考えず、客が納得するまで話をする。プリントするお客さんにも、ソファに座ってもらい、一緒に写真を選んであげる。それは、「お客さんの思い出をきれいに残す」ため、それが一番大切なこと。

ある商品を初めて知ったお客さんは、他の大手量販店に値段を調べに行く。しかし、7割の人は戻ってくる。利益は伸びているが高く売っている訳ではない。きちんとした商品を自分の目で仕入れて売れば儲かる。テレビCMに乗る商品はごく一部。それ以外の90%以上の中から、埋もれている優れた商品を安く仕入れる。

角上魚類

角上魚類は新潟県長岡市に本社を構える鮮魚店チェーンである。品質、価格、サービスで圧倒的な「満足感」を提供し、多くのお客を集める。角上魚類は1軒の店から始まった。元々、網元と卸問屋をやっていたが、スーパーマーケットの台頭で危機感を持った。ちょうど新潟にダイエーが出て来たので、見に行くと、魚が高い。自分で直接売れば、半値以下で売れると思い小売を始めた。

寺泊や新潟の市場で、その日の安い魚に特化して、大量に仕入れることで、スーパーや魚屋の1/3ぐらいの値段で売っているとクチコミで、客が来るようになった。

角上魚類の店のつくり方や売り方は最初の店を始めた時から変わらない。「鮮度はよいか、値段はよいか、配列はよいか、態度はよいか」、この「4つのよいか」は30数年経った今も通じている。

魚屋は難しい。魚はどんどん鮮度が落ちていく。仕入れにロスが出れば、赤字になる。できるだけその日の内に売り切らねばならない。そのために「仕入れ」が大事となる。角上魚類には十数人のバイヤーがいて、寺泊、新潟、築地の市場で、情報交換をしながら、漁獲量と価格を見て、できるだけロスを出さないように仕入れを行っている。

結局は、店の質がいいか悪いかで、お客さんが来るか来ないかが決まる。