社会貢献でメシが食えるのかをテーマに、社会貢献を仕事にするのに必要なことを紹介している。社会貢献を志す若者が増える中で、その実態がどのようなものかを説明。これからの働き方を考えさせる1冊。
■社会貢献したい若者が増えている
いまや社会貢献は、単なる慈善ではなくなった。それは世界を変え、世の中をよりよい方向に変えるための具体的で現実味のある戦略であり戦術である。現実に、数多くの社会起業家やNGO、企業が画期的なアイデアで、これまで誰も解決できなかった世界の様々な社会問題を解決の方向へと導いている。
日本では借金してでも社会貢献したいという若者が激増している。社会貢献に熱心ということで頼もしくもある。しかし、心配にもなる。なぜなら、社会貢献というものを雰囲気だけで理解しているからである。
■社会貢献はビジネスである
社会起業家が社会貢献の世界にビジネスの論理を持ち込んだことで、社会セクターが大きく成長した。社会貢献は競合のいない新たな市場である。今後はNGOやNPOだけでなく、一般の営利企業もソーシャル・ビジネスに注力するようになる。
社会貢献は、もはやアマチュアが善意でやる時代ではなく、プロがやる時代に突入したといえる。
■NPO業界の現実
社会貢献に取り組む人間には共通の悩みがある。「それでメシが食えるのか?」という悩みである。
社会貢献は楽勝でメシが食えるものではない。経済的には苦労している社会起業家やNPOスタッフの方が多い。日本のNPOスタッフの平均年収はざっと200万円と言われている。NPOの中には障害者などの低所得者の雇用問題に取り組んだりしている団体も多いが、自分達自身がワーキング・プアだったりする。
日本のNPOのスタッフは30歳になると辞めていくという「30歳定年説」もある。20代独身の若者なら年収200万円でも情熱で活動していけるが、30代に突入すると急に現実が襲いかかってくる。
たまに50代以上のNPO経営者と話をすると、彼らも大抵年収200万円くらいで、嫁に食わせてもらっている人も多い。これが日本のNPO業界の現実である。
しかし、日本の社会セクターも、ここ数年で意識を変えている。日本独自の社会貢献のあり方やスキルが生み出され、社会貢献で本当にメシが食える時代は、すぐそこまで来ている。
著者 竹井 善昭
1957年生まれ。ソーシャルプランニング代表 本業はマーケティング・コンサルタント。20代の頃から、マーケティング・プランナーとして女子大生、カフェバー、カラオケ、インターネット、番組制作といった、その時代の流行を追う仕事に幅広く従事してきた。 50歳を迎え、社会貢献活動に目覚め、本業もCSR、コーズ・マーケティング、ソーシャルビジネスに特化する。 現在は、プロボノ活動として、教育支援NGO「Room to Read」東京チャプター企業パートナー開発委員会共同リーダーも務める。
帯 一橋大学イノベーション研究センター長 米倉 誠一郎 |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
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序文 なぜいま、ソーシャル・イノベーションなのか? | p.2 | 10分 | |
第1章 社会貢献を仕事にする | p.31 | 28分 | |
第2章 社会起業家になる | p.91 | 21分 | |
第3章 NPO/NGOに就職する | p.135 | 12分 | |
第4章 企業の力で社会貢献 | p.161 | 17分 | |
第5章 プロボノという働き方 | p.197 | 14分 | |
第6章 それでも僕らは社会貢献をめざす | p.227 | 10分 | |
おわりに | p.248 | 2分 |
社会の諸問題を、事業により解決する人のこと。 代表的な人物として、2006年にノーベル賞を受賞…
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