一時期、学生の就職人気ランキングでも上位になるなど著名企業であったワイキューブ。その設立から倒産までの21年間が語られた1冊。
どのような想いで会社を設立し、やがて経営に失敗したのか。反面教師として学ぶべき点がある内容になっている。
■ワイキューブ設立
ワイキューブを設立したのは25歳の時。何をやって稼ぐかなどは全く考えていなかった。ただ会社員でいるのがイヤだった。創業メンバーは5人。定款には、不動産業からパチンコ店まで思いつく限りの業種を入れた。
しかし、会社を作ったとは言え、ただオフィスで待っているだけでは食べていけないことに気づき、ようやく何を売るか考え始めた。
アメリカで日本人観光客向けの新聞を発行するも、期待したほど広告は入らず、2000万円くらいの借金だけが残った。結局、自分たちの経験のある人材採用の仕事をやっていくことにした。人材関係の仕事をするなら、リクルートが売らない商品をやろうと、入社案内のパンフレット制作と学生に電話をかけて会社案内に呼び込むビジネスを始めた。しかし、電話で学生を動員するには限界があり、売上は1億円くらいで頭打ちになり、社員の給料は22、3万円どまりだった。
私にとって、会社はたんに仕事をするだけの場ではなかった。
人生を共有する場であり、生きていく場であるような気がしていた。
そして何より、自分はこう考えている、こう生きている、という想いを表現する場だった。
会社を通じて社会に発信することが何よりも大事だったのだ。
しかし、それだけでは会社は成り立たない。
会社というのは仕事をする場である。利益を上げていく事が、会社が存続していくための前提条件である。その優先順位を見誤っていた。
会社を経営していくには技術がいる。その技術が、私には足りなかった。
文章の下手な小説家のようなものだった。
著者 安田 佳生
1965年生まれ。元・株式会社ワイキューブ代表取締役社長 米国留学から帰国後、リクルートを経て、1990年ワイキューブ設立。ワイキューブ民事再生後、ワイキューブの事業を引き継いだ、株式会社カケハシスカイソリューションズ顧問に就任。
日経トップリーダー |
日経ビジネス Associe (アソシエ) 2012年 05月号 [雑誌] |
ビジネスブックマラソン 土井 英司 |
THE 21 (ざ・にじゅういち) 2012年 07月号 [雑誌] アジルパートナーズ社長 山崎 将志 |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
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まえがき | p.6 | 1分 | |
1章 満員電車からの脱出 | p.9 | 18分 | |
2章 営業カバンからの脱出 | p.41 | 15分 | |
3章 劣等感からの脱出 | p.69 | 13分 | |
4章 アポ取りからの脱出 | p.93 | 16分 | |
5章 資金繰りからの脱出 | p.123 | 16分 | |
6章 引け目からの脱出 | p.153 | 13分 | |
7章 社長からの脱落 | p.177 | 15分 | |
あとがき | p.204 | 2分 |