日本企業が「グローバル化」でつまずく理由
「世界競争力ランキング」の総合順位において、日本は1989年から92年まで1位だった。しかし、2011年には59カ国中26位になっている。日本ブランドの商品は国内では5〜8割と圧倒的なシェアだが、新興国市場への展開では立ち遅れている。
日本企業がグローバル化につまずいた要因は、次の通りである。
①「高品質」にこだわり続けた
日本企業は画質や音質などの作り込みによって、高付加価値を維持しようと取り組んできた。しかし、世界市場では、一定以上の質を求めてプレミアムを払う消費者は少数。闇雲な質の追求は、新興国に低価格でコピーされるか、消費者に評価されず、価格転嫁できない、という結果しか生まない。
②モノしか見てこなかった
「よいモノを作っていれば売れる」という考えにとらわれ、マーケティングやブランディングの軽視につながった。
③地球規模の長期戦略が曖昧で、取り組みが遅れた
グローバルに成功する企業は、地球規模の販売網の構築に早くから取り組んでいる。今後のビジネスを考える上で大切なのは、人口統計である。将来の人口予測、人口構成予測などの統計や指標を分析し、明確な長期戦略があってこそ高い成果を上げることができる。
④生産現場以外のマネジメントがうまくできなかった
新興国では販売チャネルの開拓や構築から始めなければならない。そのためには、現地のホワイトカラー人材を高度に活用し、彼らの持つ現地市場に関する知恵や情報を引き出すマネジメントが必要となる。しかし、日本企業の多くは、海外経験を昇進で評価せず、現地で適切なマネジメントができなかった。
これら4つの要因の背後には、日本企業が海外進出で抱えてきた2つの課題が見える。
・競争環境が変わったことを認識できず、本当に大切な土俵での戦略的な取り組みができていない。
・グローバルなマインドセットを持つリーダーやマネジャーが育っていない。
これらの課題は、日本企業がダイバーシティ、多様な人材の活用に欠けていることを示す。この多様性のなさは、グローバル展開が求められる今、大きな障害となる可能性がある。
グローバル人材育成のためにできること
グローバル人材育成のために日本企業がすべきことは、次の5つである。
①ローカルとグローバル間の人材異動を戦略と捉え継続する
②若手だけでなく、40代を中心とした経営幹部の教育を手厚くする
③外国人も対象として人材教育する
④英語で議論する力を学ばせる
⑤海外ビジネススクールを活用し、ミドル・シニア層を短期間のエグゼクティブプログラムに派遣する