目的を明確にする事が大切
社会が急速に変化する中で、信じるべきものを失い、将来に対する迷いや不安を抱える人が急増している。人が迷いを抱くのは、目的を見失っているせいである。物事を考え、何らかの決断を行う時、最も大事なのは目的を明確にすることである。
目的を明確にできていない人は、判断や選択に迫られた時、常に迷いを抱いてしまう。なぜなら、物事を正しく判断するための「ものさし」を失ってしまっているからである。
世の中には決断できる人とできない人の2通りの人がいる。決断できる人とできない人の違いは、個人の性格やパーソナリティの問題とは関わりない。両者の違いは「目的」があるかどうかである。
いつどんな時でも素早い決断ができるのは、目的が明確な人。一方、目的が不明確な人はなかなか決断できない。目的を持つということは、自分の中に「ものさし」を持つことと同じである。目的というものさしがあれば、どのような事態が起きても、それに照らし合わせて出来事の重要性や深刻度を理解することができる。
ビジュアル・フューチャー
ビジュアル・フューチャーとは、様々な問題に素早く対応し、決断するための手法である。ビジュアル・フューチャーを図式化すると、2つの円すいになる。
①頂点の「目的」の下に「目標」、その下に「行動」が位置する。
②頂点の「目標」の下に「行動」が位置する。
この円すいのいずれかに問題を当てはめることで、どんな事態に直面しても、迷わず判断を下すことができるようになる。
●例
ある自治体でゴミ拾い事業の参加者を多く集めるため、人気歌手を呼んでライブを行う計画をした。しかし、人は集まったが、終わればあたりはゴミだらけ。この担当者は「ゴミ拾いを通して自分の住んでいる町を大切にする」という本来の「目的」を見失っていた。
目的:自分の住んでいる町を大切にする
目標:町をきれいにする ⇔ 実際の目標:ライブを開催して人を集める
行動:人を集める
担当者が実行した「ライブを開催して人を集める」という行動は、本来の目的に沿うものではなく、「人を集める」ということを目標化してしまった。
目的は豊かさや満足感のように、形をとらない抽象的なものである。だから、目的に到達することは誰にもできない。目的とはあくまで人が向かう方向性を指し示すものである。
目的のない目標はなく、目標のない行動はない。目標を目的と見誤ってしまうのは、その人の中で目的が明確になっていないからである。
目的を明確にするには以下のやり方を使う。
①いま考える目的を思いつくまま書き出す
②項目を足したり、引いたりしてブラッシュアップする
③本当に大切なものが何かを繰り返し考えていく内に、自然と目的は洗練されていく