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2012/05/24更新

小田嶋隆のコラム道

156分

8P

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コラムとは

辞書を引くと「コラム」の語義は、以下のようになっている。
①新聞・雑誌などで、ちょっとした短い記事を載せる囲みの欄。また、その記事。
②[建築]円柱。

ざっと言って「枠組み」ということである。そもそも、新聞社が特定の文章を「コラム」と呼ぶのは、そのテキストが、言論機関たる新聞の文責とは別のものである旨をはっきりさせるためであろう。新聞社というパブリックな言論とは正反対の出自を持つもので、コラムニストと呼ばれる個人が、私的かつ独自な視点において吐き出した言説であり、時には偏見を含んでいるかもしれない「別枠」の弁がコラムである。

コラムニストは自分が「規格外」の存在だという気分をどこかで持ちこたえているべきである。読み手による好悪や、その時々の出来不出来を超えた地点で、コラムは「違った」文章であらねばならない。
内容、文体、視点、あるいは結論の出し方や論理展開の突飛さでも良い。とにかく「当たり前でない」部分を持っていないと、枠外に隔離された甲斐がない。

書くモチベーションが大切

文章は、誰もが毎日使っている「言葉」というツールを操る技巧であり、そもそも素人と玄人の間に決定的な力量差は生じない。文筆の世界では「才能」は支配的な要素ではない。

ある人間が良い原稿を書くためには、一定の技巧と読み手を納得させるアイデアが必要であり、書き手の労力が費やされなければならない。つまり、文章を書くために唯一有効な才能は「モチベーション」である。
技巧もアイデアも枯渇しない。面白い文章の書き手が、凡庸な物書きに変じてしまうケースは、モチベーションを喪失した時に起こる。

書くためのモチベーションは、書くことによって維持される。書く時間やスケジュールや量については、習慣としてルーチン化した方が良い。

文章を書くには慣れよ

文章を書くことに慣れていない人間が、白紙の原稿用紙を渡された時に抱く感情は、恐怖に近い。この恐怖を克服する鍵は「慣れ」である。

文章を書く作業を大雑把に2つの段階に切り分けると「創造」と「描写」に分類できる。「創造」は書くべき内容を思いつくこと。「描写」は頭の中に浮かんだアイデアを書き起こす段階にあたる。

創造は単純な反復練習では身に付かないため、初心者はまず描写力を身に付ける。技巧は、機械的に身に付けるものであり、機械のような正確な技巧が、繊細な創造のための道を開く。

初心者が描写力を身に付けるにあたっては、自分のオリジナルの考えを書き起こすよりは、すでにあるものを利用した方が合理的である。まず、他人の文章を要約してみる。要約に慣れたら、感想を書いてみる。効率的な反復練習を続ければ、技巧は簡単に身に付く。