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2012/06/23更新

「統治」を創造する 新しい公共/オープンガバメント/リーク社会

291分

8P

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eデモクラシー2.0

ITを使った政治の透明化、選挙の効率化、市民参加の拡大、直接民主主義。これらは90年代から論じられ、「eデモクラシー」と呼ばれてきた。
日本でも、政治におけるITの利活用は進んでおり、どの政党・議員もホームページを持っている。しかし、ITにより「政治不信が払拭された」「日本の政治が劇的に変わった」と感じている人はほとんどいない。「新しい民主主義」は、いまだ日本では実現していない。

しかし、米国でオバマが登場して以降、その選挙戦術や「オープンガバメント」と呼ばれるITを使った新しい政治が注目されている。オバマ政権は、ウェブサイト上で国民の意見やアイデアを募るオープンガバメント・イニシアティブを始め、15000人近くの参加者や20000件以上のコメントを集め、そこから政府の透明性や政治参加に関する提言を作った。

政治情報のオープン化、ソーシャルメディアの活用は、政治家と有権者の関係性を、より密接なものにし、「政治」自体を「密室・談合」ではなく、公開を前提にしたものに変えていくように作用する。
日本におけるeデモクラシー2.0は、様々な課題を内包しつつ代表民主制の強化と、参加型の政治の両立へ向けて、着実に進んでいると思われる。重要なことは、小さいかもしれないが、その「一歩」を伸ばし、課題を克服していく努力を続けることである。

リーク社会

ある行為が主体的なものである以上、それには恣意性が伴う。発信される情報が、本当に正しいのか。これはオープンガバメントの議論に関わる重要な問題である。

「せいとうせい」という言葉には「正当性」と「正統性」の2種類がある。前者は対象となる事柄が内容的に「正しい」か、後者は対象となる事柄が正しいと誰もが「信頼する」ことができるかどうかに関わる。法や国家には「正統性」が存在する。

しかし、ウィキリークスを始めとするリークサイトは、既存の世界構造そのものへの「正統性」の疑義も訴えている。リークサイトや人々の情報の透明化要求は、人々が、世界が今ある世界として存在することへの疑問から、「正統性」の再考を図るがゆえの批判的行為と理解できる。我々は権力に対する永続的な批判ツールを、リークという手段によって獲得したのである。

新しい情報の透明化の波、リークという名の批判が「正統性」に揺さぶりをかけたことが新たな統治形態を生ずる契機となっている。現在生まれつつある統治とは、政府や企業が自主的に情報を透明化し、そこに人々の自由な討論空間を設定するという、より開かれた統治空間なのである。

統治の歴史は常に「このように統治されたくない」という人々の意志を受けて変化していく。それを受けて、新たな統治形態は、情報を開くことで、統治の「正統性」を確保するタイプのものとなっていくだろう。