東日本大震災以降の社会変化を読み解きながら、これからの政治、社会への関わり方を考えさせる1冊。主にインターネットを利用して、開かれた政治を行うとする「オープンガバメント」をテーマに取り上げ、9名の執筆者がそれぞれの専門的見地から問題を論じている。
■オープンガバメント
オープンガバメントの基本的内容は、インターネット技術を駆使して、政府による情報公開の促進、それに基づいた自由な市民同士の議論の形成、官と民のコラボレーションである。つまり、政府を「プラットフォーム化」させることがミッションの骨子となる。
オープンガバメントは、ネットの技術を使って、政治の門戸を広げるものである。しかし、それ自体は政治的意志を決定するシステムではない。あくまで、民主主義の弱点を補うためのツールと見なした方がよい。
私たちの声を政府にリアルタイムで反映させる方法として、デモを挙げることができる。そして、オープンガバメントもデモや社会運動といったような直接選挙に参加しない人々のための意志表明ツールと考えてよい。
代表制民主主義では、すべての人の声を把握することは不可能であり、取りこぼされる人々の声や現実は、政治の空間に上がってこない。このような意味で、オープンガバメントは画期的である。
このようなオープンガバメントには、情報を自ら得ようとし、他者と語り合おうとし、自ら政府の仕事を引き受けようとする「自発的な主体」が必要とされる。しかし、我々が日々を生きていく中で、そこまで政治にコミットする意義は見出されるだろうか。
そもそも声を上げなければ、オープンガバメントは機能不全に陥ってしまう。我々はこの新しい政治形態の徹底的なラディカル化を目指すべきである。
著者 谷本 晴樹
1973年生まれ。(財)尾崎行雄記念財団主任研究員 その他、ネットメディア「政策空間」編集委員、Inter Press Service Japan 理事、政治社会学会監事。日本政治学会、日本国際政治学会、日本臨床政治学会所属。
著者 吉野 裕介1977年生まれ。京都大学GCOE研究員 日本学術振興会特別研究員、スタンフォード大学客員研究員を経て、現職。
著者 淵田 仁1984年生まれ。一橋大学大学院社会学研究科博士後期課程在籍 日本学術振興会特別研究員。専門は、思想史・哲学。月曜社WEBサイトにてジャン=ジャック・ルソー『化学教程』を連載翻訳中。
帯 批評家 東 浩紀 |
帯2 コミュニケーション・ディレクター 佐藤 尚之 |
帯3 NPO法人フローレンス代表 駒崎 弘樹 |
デジタルマーケターが読むべき100冊+α ツナグ代表 佐藤 尚之 |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
---|---|---|---|
序 章:「統治を創造する時代」の幕開け | p.3 | 21分 | |
第1章:eデモクラシー2.0 | p.37 | 22分 | |
第2章:政府/情報が開かれる世界とは | p.71 | 31分 | |
第3章:「政治」概念はラディカルに変化するか | p.119 | 18分 | |
第4章:ハイエクの思想から読み解くオープンガバメント | p.147 | 29分 | |
第5章:ソーシャルメディア時代の新しい社会貢献 | p.193 | 26分 | |
第6章:"3・11"にオープンガバメントはどう動いたか | p.233 | 14分 | |
第7章:オープンガバメントと著作権 | p.255 | 18分 | |
第8章:情報の「組み合わせ」がビジネスを生み出す | p.283 | 17分 | |
第9章:悪しき統治を想像する | p.311 | 26分 | |
あとがき | p.351 | 3分 |
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