NHK教育テレビ『ピタゴラスイッチ』、『0655/2355』などを生み出した、東京藝術大学大学院映像研究科教授である著者が、 見過ごしがちな、日々の不可解な事を独自の分析で考察した27篇のエッセイ。
誰も考えもしなかった物事の本質に迫り、思いもよらない考え方を気づかせてくれる1冊。思わず、ハッとなる視点があります。
家の近所に、とても美味しい豆大福屋がある。長い行列が絶えず、私もその行列に並ぶことがある。やっと順番が来て、いくつになさいますか? と聞かれ、その時々で9個とか14個下さいと返事すると、素早く豆大福を包んでくれる。
包んでいる間でも店の人は口を休めない。「全部で◯◯◯円になります」と金額を教えてくれる。注文した直後に、一個140円×注文した豆大福の数という計算を頭の中でやろうとするが、大福の数が二桁になると、暗算できる範囲を超える。それでも、お店の人の計算の速度は衰えない。この位の桁は憶えてしまったのか?
この疑問は、あっけなく解決した。豆大福を包むための机の前の壁に、豆大福の個数と合計金額、想定されるお客からの代金に対してのお釣りが一覧表になっていたのである。
私たちは、毎日、言葉を話したり、テレビを見たり、メモを取ったり、意識もせず、いろんな事を行う。そのような日常では、無意識に楽々やっていることが山ほどある。しかし、計算となると話は別になる。その面倒臭さゆえに、豆大福屋は、それぞれの工夫を凝らし、克服するのである。
著者 佐藤雅彦
1954年生まれ。東京藝術大学大学院映像研究科教授 株式会社電通を経て、1999年、慶應義塾大学環境情報学部教授に招聘される。2006年より、東京藝術大学大学院映像研究科教授。 代表作に、プレイステーションソフト『I.Q』、NHK教育テレビ『2355』、『0655』、『ピタゴラスイッチ』など。 脳科学の知見に基づく表現の研究や、科学実験を通して、研究室の卒業生で構成されるクリエイティブグループ・ユーフラテスと共に、「ある考え方」「新しい分かり方」を基とした映像や表現、教育、研究発表など、枠組を限定しない独自の試みと活動を続けている。 朝日広告賞最高賞、ADC賞グランプリ、ACC賞グランプリ、1991年クリエイター・オブ・ザ・イヤー、毎日デザイン賞、スロバキア・ドナウ賞、日本賞総務大臣賞、ニューヨークADC賞金賞ほか受賞多数。
週刊 東洋経済 2011年 12/17号 [雑誌] |
週刊 ダイヤモンド 2012年 3/17号 [雑誌] 紀伊國屋書店新宿本店第2課係長 水上 紗央里 |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
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まえがき | p.3 | 1分 | |
「たくらみ」の共有 | p.9 | 3分 | |
敵か味方か | p.15 | 5分 | |
おまわりさん10人に聞きました | p.25 | 5分 | |
~と、オルゴールは思い込み | p.35 | 5分 | |
物語を発現する力 | p.45 | 6分 | |
中田のスルーパスと芦雪 | p.57 | 5分 | |
もう一人の佐藤雅彦 | p.67 | 5分 | |
想像料理法 | p.77 | 5分 | |
広辞苑第三版 2157頁 | p.87 | 5分 | |
この深さの付き合い | p.97 | 5分 | |
もうひとつの世界 | p.107 | 5分 | |
ハプニング大歓迎 | p.117 | 5分 | |
ものは勝手に無くならない | p.127 | 5分 | |
はじめての彫刻 | p.137 | 6分 | |
見えない紐 | p.149 | 5分 | |
ふるいの実験 | p.159 | 5分 | |
言語のはじまり | p.169 | 5分 | |
無意識の引き算 | p.179 | 5分 | |
小さな海 | p.189 | 6分 | |
意味の切り替えスイッチ | p.201 | 5分 | |
船酔いしない方法 | p.211 | 5分 | |
シラク・ド・ウチョテです | p.221 | 5分 | |
耳は口ほどにものを言い | p.231 | 5分 | |
板付ですか? | p.241 | 5分 | |
一敗は三人になりました | p.251 | 4分 | |
「差」という情報 | p.259 | 5分 | |
その時 | p.269 | 5分 | |
あとがき | p.279 | 2分 |
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