リーダーシップは学べる
リーダーシップとは「共通の利益になると見なされた目標に向かって熱心に働くよう、人々に影響を与える技能」である。
技能とは単純に、学んだり身に付けたりできる能力である。リーダーシップ、つまり他人を動かすことは、その気があってそれなりの行動をとれば、誰にでも学べて、発揮できる。
権威を求めよ
リーダーシップとは他人を動かすこと。自分の思い通りに人を動かすには「権力」と「権威」の違いを理解することが重要である。
・権力
たとえ相手がそうしたがらなくても、地位や力によって、自分の意思どおりのことを強制的にやらせる能力
・権威
個人の影響力によって、自分の意思どおりのことを誰かに進んでやらせる技能
権力は「能力」と定義されるが、権威は「技能」とされる。権力を行使するのに、頭脳や勇気は必ずしも必要ない。しかし、権威を持つには、特別な技能が必要となる。
権力は関係を蝕む。権力によっても、何かを成し遂げるかもしれないが、時間が経つにつれ、その関係は壊される可能性がある。家庭で厳しい教育方針を貫いたり、悪い従業員をクビにする場合などには、権力が必要である。しかし、こうした権力に頼る必要が生じたのは、権威が崩れたこと、あるいは権威がないことが原因である。
権威ある人物に共通する点には以下のことが挙げられる。
・正直で信頼できる
・いいお手本
・愛情深い
・献身的
・話をよく聞く
・人に責任を持たせる
・敬意をもって人に接する
・人を励ます
・肯定的で熱心な態度
・人の価値を認める
これらの特徴を身に付けるには、選択と多大な努力を必要とする。
リーダーの役割は奉仕すること
組織が上から下へのピラミッド構造になっていれば、従業員は顧客でなく、上司の顔色をうかがい、上司のために働く。しかし、逆ピラミッド型の組織では、現場の従業員は顧客のために動き、その下層の監督者は従業員が何を必要としているかを見極め、応えようとする。リーダーの役割は支配したり、下の階層に威張ることでなく、奉仕することである。
長期にわたって有効なリーダーシップは、影響力と権威の上に作らねばならない。そして、権威は常に奉仕と犠牲の上に成り立つ。奉仕と犠牲は、愛の上に作られる。愛は、常に意志の上に作られる。
リーダーシップは意志から始まる。正しい意志があれば、愛を選ぶことができ、人々の欲求ではなく、正当なニーズを見極めてそれに応える。人々のニーズに応える時、私たちは奉仕し、犠牲を払う。こうして、権威あるいは影響力を手にし、リーダーシップを得る。