日本経済新聞「私の履歴書」として連載された建築家安藤忠雄の半世紀。
大学に進学できず、独学で建築を学び、今の地位を築いた安藤忠雄の哲学が書かれています。学歴も社会的基盤もなければ、仕事は自分で作らねばならない。何事も、とにかく全力で取り組むことの大切さを教えてくれます。
安藤忠雄の代表作品などの写真も満載。世界的建築家を知る上で最適な1冊。
私の仕事をみて、「好きなことをやってお金をもらえるからいいですね」などと言う人がいる。他人のカネで自分のつくりたいものをつくる、羨ましい仕事に見えるらしい。しかし、実際は、常に「現実」と渡り合う、一に調整、二にも三にも調整という地味で過酷な仕事である。
どんなに挑戦したいアイデアがあっても、予算の範囲を超えてしまえば依頼主は納得しない。予算を聞くと要望の半分でも実現が難しいケースがほとんどである。しかし、打合せを重ねるほどに要望は増えてくる。
様々な問題をクリアして計画が固まりだしたら、今度は施工会社と工事費をめぐってぎりぎりまで折衝が続く。そして、建物が完成したら、待っているのは依頼主からのクレームである。出来上がって初めて知る夢と現実との相違に、思わず不平を漏らす依頼主もいる。
建築家の仕事は、日々苦難の連続である。それでも人の命を安全に守り、安心して過ごせるようにする意義があり、やりがいがある仕事といえる。
著者 安藤 忠雄
1941年生まれ。建築家 東京大学名誉教授。21世紀臨調特別顧問、東日本大震災復興構想会議議長代理、大阪府・大阪市特別顧問。 独学で建築を学び、1969年に安藤忠雄建築研究所を設立。1979年「住吉の長屋」で日本建築学会賞。代表作に「光の教会」「大阪府立近つ飛鳥博物館」「淡路夢舞台」「FABRICA(ベネトンアートスクール)」「フォートワース現代美術館」「東急東横線渋谷駅」など。 イエール大学、コロンビア大学、ハーバード大学の客員教授を務め、1997年東京大学教授、2003年から名誉教授。 1993年日本芸術院賞、1995年プリツカー賞、2005年国際建築家連合(UIA)ゴールドメダルなど受賞多数。2010年文化勲章受章。
ビジネスブックマラソン 土井 英司 |
THE 21 (ざ・にじゅういち) 2013年 01月号 [雑誌] ロコンド代表取締役 田中 裕輔 |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
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はじめに | p.2 | 2分 | |
独学でつかんだ天職 | p.16 | 1分 | |
厳しくも優しい祖母 | p.20 | 1分 | |
初めての大病でおろおろ | p.24 | 1分 | |
「数学は美しい」と熱血指導 | p.28 | 2分 | |
弟を追ってプロデビュー | p.33 | 1分 | |
家計と学力の問題で断念 | p.36 | 2分 | |
丹下作品に感動しきり | p.43 | 2分 | |
若手が集まり互いに刺激 | p.48 | 1分 | |
仕事上も妻と支え合い | p.52 | 1分 | |
専門書片手に昼ごはん | p.56 | 1分 | |
7ヶ月ひとりでヨーロッパへ | p.60 | 2分 | |
強い思い放っておかぬ街 | p.65 | 2分 | |
文化の先鋭たちが躍動 | p.72 | 3分 | |
仕事道具は自分持ち | p.80 | 2分 | |
買い取られた家を増築 | p.85 | 1分 | |
外部は窓なし、中庭から光 | p.89 | 2分 | |
予算の壁を絆で超える | p.96 | 2分 | |
開発を見直す機運育む | p.102 | 2分 | |
美を死の直前まで追求 | p.107 | 1分 | |
展覧会MOMA/ポンピドー | p.111 | 2分 | |
自由で豪胆な経営者 | p.118 | 2分 | |
感性を磨く芸術の島に | p.125 | 2分 | |
代表作品 | p.131 | 15分 | |
復興へ心をひとつに | p.174 | 1分 | |
授業がまさに国際交流 | p.178 | 2分 | |
頑張り屋の学生ばかり | p.184 | 1分 | |
しつこく挑戦、次の糧に | p.188 | 2分 | |
こどもの可能性引き出す空間 | p.193 | 3分 | |
アートのための空間 | p.202 | 3分 | |
チームの力 | p.212 | 2分 | |
美しい風景復活へ植樹 | p.218 | 1分 | |
「心の風景」残した建物に | p.222 | 2分 | |
ゴミの山を緑の森に | p.227 | 3分 | |
市民の手で元気な街に | p.235 | 2分 | |
今こそ日本が一丸に | p.240 | 1分 | |
人間性育む教育に未来 | p.244 | 2分 | |
追伸 桃・柿育英会の取り組みを通して | p.249 | 1分 |