震災復興の名の下、巨額の復興費が予算化され、大増税が実施されようとしている。しかし、本当に巨額の復興費は必要なのか。
山を削って高台を作る。シャッター商店街を復活させる。エコタウンを造成する。本来、震災復興に必要とされない公共事業が行われ、税金がムダ遣いされようとしている。
政治家が、自己の票田を維持するための利益誘導政策として、震災復興を利用しようとしていると唱えている。
政府は、震災復興のためには19〜23兆円の予算が必要で、それを賄うために10.5兆円の増税が必要だとしている。しかし、この数字には全く根拠がない。実際に必要な復興費用は4兆円程度であろう。
政治家と官僚は、工事期間の長い公共事業を行い、人々を政治に依存させようとしている。震災復興策は、政治家の票田を維持するための利益誘導政策として、経済効果の低い、予算の消化を自己目的とした事業になる。
著者 原田 泰
1950年生まれ。エコノミスト。大和総研顧問・東京財団上席研究員 経済企画庁国民生活調査課長、海外調査課長、物価政策課長、財務省財務総合政策研究所次長などを経て現職。
週刊 東洋経済 2012年 4/21号 [雑誌] 上智大学経済学部准教授 中里 透 |
TOPPOINT |
エコノミスト 2012年 7/17号 [雑誌] 東京大学大学院教授 井堀 利宏 |
週刊 東洋経済 2012年 8/4号 [雑誌] |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
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序論 人を助ける復興策とは? | p.7 | 5分 | |
第1章 大増税の口実に使われる大震災 | p.15 | 13分 | |
第2章 過去の震災復旧対策の浪費ぶり | p.37 | 9分 | |
第3章 政府や県が無駄遣いに積極的な理由 | p.53 | 26分 | |
第4章 最も安上がりで効果的な復興策 | p.97 | 20分 | |
第5章 過去の大震災に学ぶ | p.131 | 13分 | |
第6章 原発事故の教訓 | p.153 | 20分 |