バイオエネルギーの特徴
サトウキビやトウモロコシを発酵・蒸留して製造される燃料をバイオエタノール。大豆などの植物油脂をメチルエステル化して製造される燃料をバイオディーゼルという。これらバイオ燃料は、自動車用燃料として使用することができ、以下の特徴を持っている。
①植物を原料としているため、半永久的に枯渇することがない
②原油などの化石由来エネルギーを代替し、これらを節約できる
③温室効果ガスを削減できる
④農作物に対し、新規市場を創出し、農業経済を活性化する
バイオエネルギー大国ブラジル
ブラジルでは1930年代から国家主導でバイオエタノールの生産・普及を進めてきた。その結果、現在、エネルギー供給の18.2%がサトウキビ由来となり、その大半はバイオエタノールである。これは欧米諸国や日本と比較して著しく高い。
バイオエタノールの生産量は米国に次いで世界第2位となっており、米国とブラジルで世界生産量の9割近くを占める。輸出量では世界最大である。
2005年以降、バイオディーゼルの普及・生産も国家主導で進められた。結果、生産量はドイツに次いで世界第2位となっている。
最近では、サトウキビを搾汁した後の残りかす「バガス」を燃やし「コジェネレーション」を活用したバイオ電力の供給量も飛躍的に増加している。ブラジルでは、電力総供給量の内、バイオマス由来が6.9%を占めている。
ブラジルのバイオエネルギーが優れている点
ブラジルのバイオエネルギーは、生産コストが安く、ガソリン価格に対しても競争力を有している。1980年以降、生産及び流通に関する投資を増大させ、醸造技術を中心とする技術の向上により、生産コストが減少してきた。
サトウキビからバイオエタノールを生産しているブラジルの生産コストは0.31USドル/ℓ。一方、トウモロコシから生産している米国は0.49USドル/ℓ。エネルギー効率を考慮すれば、ガソリン価格が0.51USドル/ℓ以上の水準であれば、補助金なしで操業可能である。
バイオエネルギー政策成功の要因
①1975〜1990年に実施された国家プロジェクトで総額123億USドルが投入され、需要の創出、生産の増加、流通の整備、技術開発、税制控除等の整備が行われた。
②ガソリンとバイオエタノールの混合率を自由に設定できるフレックス車を開発し、普及させた。
③ブラジル連邦政府が長期的な視野と先見性を持っていた。
ブラジルはバイオエタノールの使用拡大により、1975〜1996年までに約330億ドルに相当する原油輸入額を節約。さらに海底油田開発に成功したことで、国内の石油自給を達成した。