ブラジルは1930年代から、国家主導でサトウキビを原料とするバイオエタノールの生産・普及を進めてきた。今では、ブラジルのエネルギー供給の約半分は再生可能エネルギーになっており、約2割はバイオエタノールである。
太陽光、風力、水力などの自然エネルギーと比べ、石油の代替となる特徴を持つバイオ燃料の開発で成功しているブラジルの実態を紹介している。
今後の日本のエネルギー問題を考える上でも、参考になる1冊。
ブラジルでは1930年代から国家主導でバイオエネルギーの普及が進められてきた。結果、エネルギー供給の18.2%がサトウキビ由来のバイオエネルギーとなり、海底油田の開発に成功したこともあり、国内の石油自給を達成した。
また、ブラジルはバイオエネルギー政策によって、次の成果もあげている。
・バイオエネルギーという新しい市場・産業の創出
砂糖とバイオエネルギー向けを使い分け、需給コントロールが可能になった。
・バイオエネルギー市場を通じた農業・農村開発
バイオエネルギーが、農作物需給の下支えとして機能し、農作物価格が下落しにくくなった。
再生可能エネルギー供給量の増大を図る日本としても、ブラジルのバイオエネルギー政策は参考になる。
著者 小泉 達治
1969年生まれ。国際連合食糧農業機関(FAO)天然資源・環境局(NR)気候変動・エネルギー・農地保有部(NRC)事業調整官 大学卒業後、農林水産省入省。以降、国際部、経済企画庁(現内閣府)、中国四国農政局、総合食料局、米国農務省経済研究所(USDA‐ERS)客員研究員、国際連合食糧農業機関(FAO)経済社会局商品貿易部エコノミスト、農林水産省農林水産政策研究所主任研究官等を経て現職。
エコノミスト 2012年 2/14号 [雑誌] |
日本経済新聞 |
エコノミスト 2012年 3/13号 [雑誌] 東京市政調査会常務理事 新藤 宗幸 |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
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まえがき | p.1 | 2分 | |
第1章 バイオエネルギーとは | p.13 | 12分 | |
第2章 ブラジルが進めた政策 | p.31 | 42分 | |
第3章 ブラジルのバイオエネルギーの将来と食料需給に与える影響 | p.93 | 24分 | |
第4章 バイオエネルギーと環境 | p.129 | 34分 | |
第5章 ブラジルが進めた政策の意義とバイオエネルギー大国ブラジルの挑戦 | p.179 | 26分 | |
第6章 今日本がブラジルのバイオエネルギーから学ぶこと | p.217 | 13分 | |
あとがき | p.236 | 3分 |
内燃機関、外燃機関等の排熱を利用して動力・温熱・冷熱を取り出し、総合エネルギー効率を高める、新しいエ…