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2012/05/07更新

アップルのデザイン ジョブズは“究極”をどう生み出したのか

103分

12P

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アップルのデザイン投資

アップルがデザインするのは顧客との接点すべて。その1つひとつに膨大な経営資源を投じて消費者に「特別な体験」を提供する。

・広告費:774億3900万円
・設備投資額:3320億円
・製品発表会準備期間:2ヶ月
・1店舗平均設備投資額:12億7400万円
・1店舗平均従業員数:100人強
・パッケージデザイン特許:8件

ジョブズから学ぶべき心構え

①新しい製品を「史上最高」と信じきって市場に送り出す
本気で自分たちの製品を素晴らしいと感じて送り出しているか?消費者は、その「熱」を敏感に感じ取っている。

②自分の五感すべてで感じ取る
製品のカラーバリエーションや質感の検討はもちろん、店舗で使う椅子やテーブル、ガラスの質感など、とにかく必ず自分の目で見て、触って、比較する。

③デザイナーを懐刀にする
クリエイティブ面で自分の手に負えないことは、クリエーターに相談できる関係を常に保つ。

④どんな細部にも妥協しない
製品の手触りやボタンのクリック感、インターフェースの気持ち良さなどは、細部への駄目だしを繰り返して初めてモノになる。

アップルデザインの真髄

アップルのデザイン設計は、国内メーカーのモノ作りに携わる者の立場から見れば、「プロダクトデザインのルールをことごとく無視している」と言わざるを得ない。

・小さなネジ
iPhone4Sの内部構造を日本メーカーの携帯端末と比較した場合、最も特徴的な違いは、使われているネジの多さにある。内部ではモジュールや本体を多数の極小ネジで固定している。生産効率の観点から工程数の削減やねじ止め方向の統一は常識とされるが、iPhone4Sでは生産効率を犠牲にしてでも、このカタチを実現したいという意志が見える。

・スポット溶接
ボディー周囲の金属枠とフレーム部分をスポット溶接で固定するなど、iPhone4Sにはスポット溶接の跡が多数見られる。これはクルマのボディー生産などに用いられる生産技術。アップルのデザインには必ず既存技術への挑戦がある。

細部にこだわり、これまでのモノ作りの常識を超えたアップルのデザインの背景には、異常とも言えるほどのデザイン投資がある。国内メーカーの場合、1つの製品に対して1億円を超える金型投資をすることはまずない。1台1000万円を下らない加工機を、アップルは何千台も買い上げ、加工工場に貸与する。

アップルのモノ作りは、全世界で単一モデルを大量生産し、低コスト化を図ることで初めて実現できる。そして、効率的な製造プロセスをシュミレーションするシステム、新しい技術提案を受け入れる態勢を常に整えることで、デザインにこだわりながら、製造コストを抑えている。