今読むべき優良ビジネス書が
すぐ見つかり、読んだ本を
しっかり自分の知識にするサイト

本を検索する

カテゴリーから探す

人気のタグ

お知らせ


Android無料アプリ配信中
2012/04/24更新

閉じこもるインターネット――グーグル・パーソナライズ・民主主義

314分

12P

  • 古典的
  • トレンドの
  • 売れ筋の
  • すぐ使える
  • 学術系
  • 感動する
  • ひらめきを助ける
  • 事例が豊富な

対象読者:

アマゾン詳細ページへ

フィルタリング技術の弊害

グーグル、フェイスブックなどのインターネット系大企業は、ユーザーの個人情報を少しでも多く集める競争に血道をあげている。

これらの企業は、皆、パーソナライゼーションを戦略の中心に据えている。個人に密着した情報を提供できるほど広告料を稼げるし、ユーザーは提示された製品を購入する。アマゾンは、各ユーザーが興味を持つモノを予測・提示し、10億ドル単位の売上を実現している。

カスタマイズが単なるターゲット広告なら良い。しかし、パーソナライズの影響は、何を買うか以外にも及ぶ。30歳以下の米国人は、今、36%がニュースをSNSから得ている。パーソナライズは、ニュースの受け取り方や考え方にも影響を及ぼす。

フィルターをインターネットにしかけ、あなたが好んでいるらしいものを観察し、それをもとに、あなたがどういう人で何をしようとしているのか推測する。推測の間違いを修正して精度を高めていく。このようなエンジンに囲まれると、我々は自分だけの情報宇宙「フィルターバブル」に包まれることになる。

フィルターバブルには、次の問題がある。
①情報の共有が体験の共有を生む時代において、一人ずつ孤立する。
②フィルターの内側からでは、その情報が偏向しているのかわからない。
③フィルターを通した情報を我々は選んだ訳ではない。

パーソナライゼーションを突き詰めると、あらゆる面で個人に合わせてカスタマイズした世界が生まれる。自分が好む人々、物、アイデアだけに囲まれた世界。居心地は良いだろうが、あらゆるものをパーソナライズするとインターネットの本来的な魅力を失う。
異なる分野や文化の発想がぶつかることから新しいものが生まれるのに、フィルターバブル内では、新たな洞察や学びに遭遇するチャンスが少なく、創造性を鈍らせる。「いいね!」ボタンをクリックしにくい記事、重要だが複雑、あるいは不快な問題が視野に入ることが減ってしまう。大きな出来事やアイデアを見逃していることに、無意識にさえ気づかなくなる。

フィルターバブルから抜け出す方法

・個人
多くの人は情報についてネズミに似た習性を持つ。3つか4つのウェブサイトを毎日何度もチェックし、訪問先を変えたり、増やしたりすることは珍しい。この習慣を変えていく必要がある。オンラインでも歩く道を変え、新しい分野に関心を示せば、パーソナライズするコードの動作範囲が広がる。

・企業
グーグル、フェイスブックなどの企業は、フィルタリングシステムを普通の人にも見えるようにすべきである。どのような情報を押さえ、その情報をどう使っているのか、何を基準にパーソナライズされているのか詳しく説明する必要がある。

・政府
個人情報に対するコントロールを個人に返すことを企業に義務づけるべきである。