消費税の引き上げでは財政再建できない。今後、65歳以上人口は、2010年に比べて、2020年で22%、2030年で25%増加する。それに従い、社会保障給付費(特に年金支給)も同じ程度の率で増加する。
歳出の伸び率に対し、税収の伸びを期待することはできず、このままの構造では財政が破綻すると警鐘を鳴らす。
社会保障制度の抜本的改革がなければ、日本の財政再建ないとする。国債破綻の回避シナリオとして、医療・介護の公的役割を縮小し、民間活用による経済発展を提唱する。
近い将来、日本が危機的状況に陥らないためにも、早急な対策が求められる。
①消費税率を5%引き上げても、国債発行額は2年間で元に戻る
②国債の国内発行は、2020年代に行き詰まる
歳出の伸び率の方が税収の伸び率よりも高い。そのため、歳出構造に手をつけない限り、財政赤字は縮小しない。歳出の中で重要なのは、社会保障であり、これを抜本的に見直さなければならない。
そのためには医療、介護を公的施策の範囲に閉じ込めてはならない。経済構造を人口構造の変化に対応させ、医療や介護の需要を民間含めて対応していく必要がある。結果として、日本経済の起爆剤となりうる。
著者 野口 悠紀雄
1940年生まれ。早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授、一橋大学名誉教授 大蔵省時代から論壇に盛んに寄稿し、『情報の経済理論』では日経経済図書文化賞を受賞。一橋大学助教授時代に「『財政危機の構造』を中心として」でサントリー学芸賞受賞。1990年代以降に続いた長期不況に関して、その原因を戦時中に構築されたシステム(「1940年体制」)の非効率さにあるとして、経済論壇において一大センセーショナルを巻き起こした。
エコノミスト 2012年 2/14号 [雑誌] |
週刊 東洋経済 2012年 3/17号 [雑誌] 上智大学経済学部准教授 中里 透 |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
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第1章 消費税を増税しても財政再建できない | p.1 | 26分 | |
第2章 国債消化はいつ行き詰まるか | p.39 | 32分 | |
第3章 対外資産を売却して復興財源をまかなうべきだった | p.87 | 26分 | |
第4章 歳出の見直しをどう進めるか | p.125 | 12分 | |
第5章 社会保障の見直しこそ最重要 | p.143 | 22分 | |
第6章 経済停滞の原因は人口減少ではない | p.175 | 12分 | |
第7章 高齢化がマクロ経済に与えた影響 | p.193 | 38分 | |
第8章 介護は日本を支える産業になり得るか? | p.249 | 29分 |
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