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2012/04/24更新

心が喜ぶ働き方を見つけよう

  • 立花 貴
  • 発刊:2012年4月
  • 総ページ数:224P

161分

2P

  • 古典的
  • トレンドの
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ビジネスマン、漁師になる

東日本大震災をきっかけに、生活や働き方は180度変わった。母と妹の安否確認のために仙台へ入り、安否を確認した後は、東京に帰って仕事に戻るつもりであった。しかし、そのまま炊き出しや物資支援の活動をするようになった。なぜかと言えば、「見てしまった」からである。避難所の人たちの姿が、頭から離れなかった。

宮城県石巻市雄勝町。石巻市の中心部から北東の沿岸、車で40分のところにある小さな港町。東日本大震災による津波によって、町はほぼ壊滅状態になってしまった。住民の多くは町外や市外に避難し、約4300人だった人口の8割が流出した。

雄勝町との縁は、雄勝中学校の佐藤淳一校長先生との出会いから始まった。仲間と震災地に入って支援活動をしていた4月中旬に、知人の紹介で会った。校長の第一声は「子供たちに、腹いっぱい食べさせてあげたい」「家も想い出も何もかも流された子供たちに、ひもじい思いだけはさせたくない」
当時、雄勝中学校は、学校給食は再開されていたものの、パンと牛乳だけ。家でも十分な食べ物がなく、避難所でも、朝はパン1個かおにぎり1個だけと厳しい環境にあった。

先生の言葉が心に響いた。翌日から、大規模半壊の認定を受けた仙台の実家で給食づくりが始まった。中学校、小学校合わせて100食分。実家の部屋のテーブルやカウンターいっぱいに、100個のコロッケやメンチカツが並んだ。でき上がった給食は、毎日片道2時間をかけて雄勝まで運んだ。

6月になって雄勝で養殖業をしている伊藤浩光さんから、漁師の会社をつくりたいという相談をもらった。漠然とだが、何か新しいものを皆と創れる気がした。準備期間を経て、8月にオーガッツの設立と共に漁師になった。

オーガッツは、生産から加工、販売までの一連のプロセスを自分たちで担うことで流通をダイレクトにする。これで漁師の収入も増やすことができる。生産者と消費者をつなげる「養殖の一口オーナー制度」という予約販売の仕組みをつくった。

震災地での活動に本腰を入れるため、震災前に関わっていたほとんどの仕事は終了し、収入は1/4になった。住民票は雄勝町に移した。これからどうなるかわからないが、感じたまま動いた結果が「今」である。

「グッとくる」の意味は、「考えるよりも先に感じて、いつのまにか動き始めている」という意味である。自分の内側から湧き上がっているエネルギー、本当に自分の求めている心の声に耳を傾けて、素直に動いてみる。そんな「グッとくる働き方」が、これからは大切なのではないか。