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2012/04/22更新

ブータン、これでいいのだ

175分

8P

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GNH(国民幸福量)向上を目指す国

ブータンの政治はGNHの最大化を目指している。しかし、社会経済発展や、近代化を放棄している訳ではない。社会経済発展は、国民を幸せにするひとつの要素と考えている。

ブータン政府は歳出を自主財源だけではまかないきれていない。収入の3割をインドを始めとした他国からの援助に依存している。ブータンのようなインド、中国という大国に挟まれた立地の小国にとって、経済的に他国に依存することは大きなリスクである。このため、自国内の産業を育成し、経済的自立を目指している。

しかし、ブータンでは現場で働く人たちはおっとりしている。多くのブータンの人々は、これまで以上に働きたくない。人々の仕事が増えると「幸せ度」は下がってしまうというジレンマは悩みの種となっている。

ブータン人の考え方

ブータンの人々は「人間の力では頑張ってみてもどうにもできない」と思っている範囲が大きい。運や縁なども含めて「まぁ、なるようになるよ」というスタンスが強い。何か失敗が起こっても何となく「仕方がなかった」で流れていく。
うまくいかないことがあっても、自分を責め、追い詰めることがない。「仕方がなかったね」と割り切り、次の瞬間から笑顔に戻る。これは、ブータンの人々が日々を幸せに生きる上での知恵である。

ブータンの人々は、輪廻転生を信じ、いつもうっすらと来世を意識し、老後には毎日来世のために祈る。ブータンの人にとって「今の人生」の捉え方は、日本人とは異なる。「現世がすべて」と考えていたら、人生が思い通りにいかない時、取り返しがつかない気がして、つらくなる。反対に「現世がすべてではない」と信じれば、うまくいかない事があっても割り切れる。

ブータンの人たちが「幸せかどうか」を問う時、対象は「自分自身」が幸せかどうかではない。自分の大切にする人たちの幸せも含めて自分の幸せと捉える。ブータンの人が「幸せになりたい!」と自分の幸せについて語っているのを聞いたことがない。彼らがいつも気にしているのは、家族や友人など、周りの人の幸せである。

ブータンは幸せか

ブータンは幸せの国と語られるが、現実は単純ではない。貧困もあり、経済格差もある。都心部ではバブルも始まっている。都市の若年層の失業率は高いのに、建設業などの仕事にはほとんどインドからの非熟練労働者に依存している。浮気がちなブータン人は離婚率も高い。

しかし、それでもブータンの人々は「どうだ、いい国だろ」と自慢する。彼らは心からそう思っている。その鈍感なまでの、あっけらかんとした強さ。日々、家族や友人のことを考え、できることを精一杯すれば、いいんじゃない?と気楽に捉える。彼らはそんな強さを持っている。

ブータン、これでいいのだ。