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2012/04/25更新

ローマ人に学ぶ (集英社新書)

135分

3P

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なぜローマは世界帝国を築くことができたのか

ローマだけが世界帝国という偉業を成し遂げることができたのは、ローマ人が何よりも故国の地にこだわった事が挙げられる。元々、愚直な農民であるから、腰を据えて土地、家畜、財産を守ることが大切だった。しかも、ひとたび行動にとりかかると、粘り強く、飽くことなく続け、最後まで成し遂げたのである。

また、ローマが大帝国をなすことができた理由の一つに「父祖の遺風」を次の世代に伝える熱意というものがある。ローマの父親は、育児や教育を当たり前のこととして引き受けていた。彼らには生き方の原型として信じるものがあり、それを「父祖の遺風」と呼んでいた。

「父祖の遺風」は子弟教育の拠り所であり、どんな風に考えるべきか、いかに振る舞い行動すべきかという基準となるものであった。これは武人の心構えとして大まかに理解すれば、武士道に通じるものがある。

ローマ人の死生観

ローマ人は祖国のためには死をも厭わなかったと言われる。個人よりも公共の安泰を重んじた。それには、肉親や親族が亡くなった時に、繰り返し刻まれる光景があったからである。

葬礼の行列には、名高い祖先の顔をろうで象った仮面をつけた役者が歩く。遺体の前で、故人の息子が弔辞を述べる。その中では故人の徳行と業績が讃えられるばかりでなく、父祖たちの輝かしい偉業までもが並べたてられた。
それを目にすれば、英雄的功績は永遠に語り継がれるかのような気分ひたれる。葬儀が終われば、故人の肖像が祖先のものと並んで飾られる。このような光景を若者たちは、幼い頃から経験した。その経験が彼らを奮い立たせる。

ローマ人の死生観を考える時、死によって無に帰すという観念が何よりも注目される。死すべき運命にある人間であるなら、限りある命をできるだけ晴れやかに楽しく過ごそうではないか。

彼らはローマ法を磨き上げ、土木建設技術の粋を集めるほど現実感覚に優れていた。だからこそ、限りある生命をより良きものにと願い、栄誉にあこがれ、やがて悦楽を求めたのではないか。

歴史の宿命

平和になり豊かになると、なぜ人間は堕落して無為になるのか。これについて解決策らしきものはない。しかし、ローマ人は平和の中で、強靭なる魂を失わないでいることに心を砕いた。

民衆はもともと支配される者としてあるのではなく、そこに生きる人々、住民でしかない。その人々の集団が、ある勢力を持ち続けるためには、まず住民の分散を防がなければならない。周りには、外敵の脅威がちらついている。そこから人々が守られるには、弱々しくあってはならない。

そこで指導者は、人々を生き生きとさせるために、剣闘士競技という流血の見世物を行った。しかし、それも平和の中の堕落という歴史の宿命を免れることはできなかった。