なぜ、コンビニは強いのか?
コンビニ業界は、1988年以降、ずっと前年売上高を上回り、2008年に百貨店の売上高(7兆3813億円)を抜いた。長引く不況で消費マインドが好転しない中、コンビニだけが堅調に成長を続けている。大手3社の2012年2月期営業利益は、セブン・イレブン1800億円、ローソン615億円、ファミリーマート421億円と予想されている。
コンビニが強い理由は「社会や消費者ニーズの変化」に対応しながら進化を遂げてきたからである。おにぎりを売る、ファーストフードを開発する、収納代行を始める、ATMを設置する・・・。いつの時代も社会や生活者のニーズの変化を察知し「変化対応型産業」として発展してきた。
それぞれの時代に合った「利便性」を社会にプレゼンテーションし続けて自身の存在価値を訴え、売上を伸ばしてきた。つまり、「業績がいい=生活者のニーズの変化をとらえている」ということである。
コンビニ強さの5つのポイント
①変化対応力
変化への対応は、タイミングを逃さないことが重要である。先を読みすぎても消費者はついてこない。変化の兆しをつかみ、少しだけ先を行く施策を講じれば、消費者の「欲しい」にマッチできる。
ex.セブンミール、ナチュラルローソン、セブン銀行
②商品力
コンビニは、PB(プライベート・ブランド)開発力が優れている。コンビニの商品開発者は、自らが、いつ、どんなものを、どんなターゲットに向けて、どんなふうに売り出すかといったトータルな戦略を立て、ベンダーと呼ばれる製造業者とチームを組み、共に考え新作を生み出す。
③効率性
出店、製造、物流、発注、決済まで「効率化されたしくみ」は、海外へ輸出すれば、どこの国でも「コンビニ」という新しいビジネスを根付かせる可能性がある。
④娯楽性
何となく手持ちぶさたな時、一呼吸入れたい時、「コンビニに行けば、何か楽しいことがあるのでは?」と期待させる娯楽性がある。
ex.「ワンピース」キャンペーン、「ファミリーマート×YOSHIMOTO」
⑤公共性
東日本大震災の後、コンビニの一番の強みとなったのは公共性である。帰宅困難者のサポート、迅速な救援物資の確保、他県の製造工場をフル稼働させた店舗への商品供給、義援金の募集など。また、観光や地産地消などキャンペーンを通じ、地域活性化なども後押ししている。
業界には課題もたくさんある。世界的な不況や円高で原材料や仕入れ、製造・加工をいかに効率化するか。「5万店で飽和になる」とささやかれる中、現在46000店という過密立地でどう生き残るか。ミニスーパーなど他業種からの追い上げをどうかわすか。
しかし、消費者の変化に対応してくるコンビニは強い。