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人は純粋なものに触れたとき、心動かされる

「与えることは最高の喜びなのだ。他人に喜びを運ぶ人は、それによって自分自身の喜びと満足をえる」 ウォルト・ディズニー

ディズニーランドには、「正義は悪に勝つ!」「愛は人を救う!」という明確なテーマがある。ウォルトはこのテーマについて「イノセンス」というキーワードをあげ、「人は純粋なものに触れたとき、心動かされるのだ」と言っている。
ディズニーランドで働くキャストは、このウォルトの理想を実現していく。教育システムやマニュアルの力だけでなく、彼らの心が感動を生む源泉となっている。ウォルトの示したイノセンスに触れながら育ってきたからである。

重要なのはそこで働く人

「どんなにお金をかけて人工的なものを作っても、それがものである以上、いくら好きな場所でも3回行けば飽きてしまう。重要なのはそこで働く人なのだ。人の魅力で売らなければダメなのだ」 ウォルト・ディズニー

・「いらっしゃいませ」と言わない
ゲストにかける挨拶は「おはようございます」「こんにちは」「こんばんわ」。決して「いらっしゃいませ」と言わないのは、ゲストが答えようのない言葉だからである。ウォルトはゲストとのコミュニケーションが生まれやすい言葉を使うことが、絆を結ぶ出会いの始まりだと考えた。

・キャストを楽しく働かせる
ウォルトはゲストにハピネスを提供するために、なによりキャストが楽しく働くことを重視していた。本当の意味で人(ゲスト)を幸せにできるのは、アトラクションでもキャラクターでもなく、そこで出会った人(キャスト)だからである。

・案内板の数を少なめにする
キャストはゲストが困っている様子を見かけたら、積極的に歩み寄り、話しかける。ゲストの質問に答えるだけでなく、必ず、あいさつ、答え、見送りのあいさつというコミュニケーションをとる。私たちは、自分のことを気にかけてくれる人の存在に気づくと、安心し、大らかな気持ちになることができる。

・サンクスデー
社員がキャストをもてなす日。社員や幹部が直接キャストへ「ありがとう」の気持ちを伝える。どんな職場でも従業員は、会社に扱われたのと同じようにお客様を扱う。そのため、ディズニーでは、従業員を大事におもてなしする。気持ちは言葉だけでなく、行動で示し、伝える。

・ゴミ箱に頭を突っ込む
清掃作業では、ゴミ箱にちゅうちょなく頭を突っ込んで、拭き掃除をする。その結果、ゲストも分別などでゴミ処理にかかる手間を軽減してくれる。人を動かすのは、ルールや理屈ではなく、気持ちである。目に見える誰かが汗を流して掃除しているのだとわかった時、周囲の人の心に変化が生じる。