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2012/04/10更新

日本国はいくら借金できるのか?―国債破綻ドミノ (文春新書)

175分

2P

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日本の財政は先進国の中で最悪

OECDの2011年11月予測によると、日本の国と地方の政府債務残高の対GDP比は211.7%となる。事実上のデフォルト状態と言われるギリシャの165.1%を上回る。他のG7諸国は、米国97.6%、英国90.0%、ドイツ86.9%、フランス98.6%、イタリア127.7%、カナダ87.6%である。日本財政は、G7諸国や他の先進国全体の中でも最悪の状態にある。

2011年9月末現在、国の借金総額は約954兆円。2012年度予算では復興債も合わせ、新規発行国債だけで55兆円以上になり、さらに財政は悪化する。

これほどの巨額債務を抱えながら「日本の国債は危なくない」という主張には、次のものがある。
・日本は世界最大の貯蓄超過国であり、国債のほとんどは国内で消化される。
・世界最大の経常黒字国であり、外貨準備も豊富に保有している。

日本国債の保有内訳は銀行等44.3%、生損保等20.5%、公的年金9.7%、年金基金3.8%、海外投資家5.7%、家計4.1%。銀行や生保、年金が国債を購入する原資は、個人の預金や生命保険料等の集積であるから、個人金融資産がどれだけあるかは、国債を国内でどれだけ賄えるかという指標になり得る。

あと7、8年で破綻する

2011年9月末で個人金融資産は1471兆円。一方、国の借金954兆円に地方の借金200兆円を加えると1154兆円。まだ317兆円の余裕がある。
日本はあとどれぐらい借金できるか。317兆円を目安とし、毎年32兆円の国債残高が増えると仮定した場合、2021年に政府債務が個人金融資産を食い潰す計算になる。計算上は10年だが、復興債など別枠で国債発行額は増えているので、現実には7、8年後ぐらいと推測される。

しかし、国内貯蓄の食い潰しが7、8年後だとしても、財政破綻はそれまで待ってくれないかもしれない。目端の利くトレーダーなら先に逃げようとする。Xデーは明日かもしれない。

財務省が国債の保有の裾野を個人にまで手を伸ばしているのは、近い将来、日本国債が簡単に消化されにくくなる事を予測しているからに他ならない。今後、国内の貯蓄率がさらに低下し、場合によっては経常収支が赤字に転落するような事態になれば、必然的に海外投資家保有比率が上昇せざるを得なくなる。これは一種の「ギリシャ化」である。そして、そのギリシャよりも危機的である。