セブン・イレブン代表の鈴木敏文氏による実践で使えるマーケティング、コミュニケーション術。
人間は理屈よりも、心理や感情で動く。いかに顧客の心を捉え、それを経営に活かしているのかがわかります。特に流通業関連のマーケティングには、そのまま使える理論が満載。
行動経済学の理論を実際の現場での利用例にあてはめながら、平易に書かれているため、非常にわかりやすい内容になっています。
■機会ロスを逃さない
モノを買ってもらえない時代には、多くの場合、売れた量の結果データだけを見て、明日に向けたマーケティングを考えるのは間違いである。数字の向こうにある顧客の心理や感情を読まなければならない。それには、量の軸だけでなく、時間軸の入れて、売れ行きの動きを捉える必要がある。商品が短時間で売り切れたため、量が売れなかったといった機会ロスを見逃さない。
■フェアプライスを考える
今の日本では価格の安さだけでなく、この価値が得られるなら、この価格は適正だろうと顧客に納得してもらえる「フェアプライス」が重要になっている。消費者は同じ大根でグラム単価が高くても、少量で使い切れる方を選ぶ事がある。提供する価値を明確にし、はっきり伝えることで顧客の心理を刺激する時代になっている。
■画一的な消費に対応する
消費者のニーズは短時間で別の商品に移り、これが繰り返される。最近は一つの商品のライフサイクルが短くなり、人気商品の交替が激しい。これに対応するには、販売データの動きや変化を見て、新しい商品の売れ行きのカーブが立ち上がる兆しが表れたら、すぐに多めの発注をかけ、商品ラインアップを転換する。売れ行きが落ち始めたら、すぐに売場から排除していく。
著者 鈴木敏文
1932年生まれ。セブン&アイ・ホールディングス代表取締役会長CEO 大学卒業後、東京出版販売株式会社(現トーハン)に入社、出版科学研究所や広報部に所属。トーハンでの仕事の関係で大宅壮一やその門下生らと交友関係を持ち、その仲間と一緒にテレビ局を設立することを準備。たまたま近くを通ったイトーヨーカ堂で、テレビ局の構想を持ちかけたところ、「それならうちの会社でやりましょう」という話となり入社。 30歳で、当時5店舗しかなかった株式会社イトーヨーカ堂に入社以後、創業者伊藤雅俊の懐刀として、39歳の時に米国で広まりつつあったコンビニエンスストア事業を知り、1973年、新聞広告などで集めた15名の素人集団で株式会社ヨークセブン(現:セブン-イレブン・ジャパン)を設立。 米国 Southland Corporation(現7-eleven.Inc.)からフランチャイズ権を得て経営手法の指導を受け、翌年5月に1号店を東京都江東区にオープンした。自らの卓越した経営手腕と消費者マインドを読む技術によりセブン-イレブンを国内小売店業界最大手にまで育て上げ、世界が最も注目する日本人経営者の一人となっている。
日本経済新聞 福井県立大学特任教授 中沢 孝夫 |
マインドマップ的読書感想文 smooth |
週刊 東洋経済 2012年 3/31号 [雑誌] |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
---|---|---|---|
はじめに | p.2 | 2分 | |
第1講 世界が認めた「仮説思考」を学ぶ | p.11 | 30分 | |
第2講 高成功率の「リスクをとる力」学ぶ | p.67 | 36分 | |
第3講 あがり症でも話上手になれる「話し方」を学ぶ | p.133 | 17分 | |
第4講 能力を引き出す「マネジメント」を学ぶ | p.165 | 14分 | |
第5講 徹底力の「リーダーシップ」を学ぶ | p.191 | 20分 | |
あとがき | p.228 | 2分 |
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