リーダーに必要なものは言葉力
人を動かすのは、つまるところ言葉である。リーダーの資質は、言葉の力にある。但し、いくら言葉がうまくてもそれだけではリーダーとして失格である。言葉力というと、「言葉遣い」「話し方」という側面だけに注意が行きがちである。しかし、その裏にきちんとした行動がともなっていなければ、人は動かない。
「言葉力」には、言葉を発する前の段階と、あとの段階の行動も含まれる。つまりある人間の言葉が人を動かすだけの力を持つには、話す前に問題の本質や物事の大局を「見る」ことが必要である。それではじめて「語る」ことができる。そして語った後には、その自分の言葉を自分自身で「実行する」ことが求められる。
リーダーシップで大切なこと
・「着眼大局」「着手小局」
「着眼大局」とは、全体を見て進むべき方向を大きく示すこと。「着手小局」とは、大きな方向だけ示して、何から始めたらいいのかを、小さな次元で具体的に示すこと。但し、リーダーが小局において自ら手を下すのは一手、二手めまでに留めるべき。
・「何を犠牲にするか」
多くの場合、何かを犠牲にしないと状況を打開できないし、他社に勝てる差や特長を生み出すことは難しい。改革の現場では、最初に「何を犠牲にするか」を決めることが大事であり、それをはっきり伝えることで、どこに進むのか、リーダーが本気なのかが伝わる。
・自分の言葉で語る
どんなに格好の良い言葉でも、借りてきた理論で大勢の人の心を打つことは絶対に不可能である。自分ならではのオリジナリティがどこかにないと、「腹落ち」する言葉にならない。
・トップ自らが語る
トップが自分自身で語らなくなると、必ず取り巻きができて、組織は独裁体制となりやすい。
・何度も同じことを繰り返して言う
社会に大きな変化があって、方向修正しなければならない時は別だが、本当に経営にとって大事なことはそう多くない。
・大事な数字は暗記して話す
具体的な数字を挙げることは、説得力のある話をするために欠かせない。
・情報は隠さない
隠蔽体質では信頼を得にくい。情報を共有し合う事で、初めて信頼関係が生まれる。誠意とは、いい話も悪い話も正直に話すことである。
・立場の異なる者には、まず敵でないことを伝える
立場の異なる者と話す時ほど、相手の感情や立場を尊重し、まずは最終目的は同じであるという事から入るべきである。
・本質を端的に表す事実を一点だけ抽出して表現する
物事には、全体をよく表す一点があり、それを見つけるのが難しい話をわかりやすくするコツである。