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2012/03/31更新

人を助けるすんごい仕組み――ボランティア経験のない僕が、日本最大級の支援組織をどうつくったのか

243分

5P

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大規模プロジェクトを運営できた理由

プロジェクトを運営できた要因は、構造構成主義という普遍的な原理を身に付けていた事が大きい。原理は、いかなる状況でも適用可能で、未経験の現場においても、最適解を導き出すことができる。

「方法の原理」に照らせば、プロジェクトの有効性は、①状況と②目的から規定される。この場合、目的は「被災者支援」になる。そして、現地の「状況」を踏まえなければ、プロジェクトは有効なものにならない。
原理は、それから外れると必ず失敗する。そのため「状況」を捉え損ねると、必ず失敗する。だからこそ、「現場」に行き、その状況を肌で感じてくる必要がある。また、「目的」を共有することは、活動が目的からブレないためにも重要となる。

プロジェクトは、被災地の「現状」を踏まえ、被災者支援という「目的」を見定めて構築していく事で、うまく回すことができた。

しかし、プロジェクトだけ作っても、価値があると支援者に思ってもらい、支援金を振込んでもらえなければ、実効性のある形で回していくことはできない。価値を見出してもらうには、それに「関心」を持ってもらう必要があり、そのための「きっかけ」を与える必要がある。そこで「扇風機プロジェクト」や「冬物家電プロジェクト」などにおいて、現地の写真や動画などで支援者の関心を引出しながらキャンペーンを行った。

運営上の大変なこと

運営で一番難しいのは「人間の心」である。「ふんばろう」は無報酬のボランティアプロジェクトである。気持ちだけをエネルギーに動いている。そのため、みんなの気持ちがなくなった時点で、崩壊していくもろさを持っている。

個々人のミス・コミュニケーション、不平不満や内部批判、組織への依存といった様々な問題が噴出するようになった。人間は、自分が望まない後ろ向きな方向にエネルギーを使う時、心は急速に摩耗していく。それが積み重なった時、心は金属疲労を起こし、ある時ポキリと折れる。

いったい、いつまで、ふんばり続ければいいのだろう?

終わりの見えなさは、「ふんばろう」という気持ちを根っこから引き抜いてしまう。
「後ろ向き」+「終わりが見えない」=「絶望感」

この公式を壊すには「前向き」にするか、「終わりが見えるようにする」しかない。組織構造が整理されていない事から、何か言いたいことがあっても、どこに言えばよいのかわからない、言っても反映されない事がトラブルの原因になっていた。

そこで「ほめる」「励ます」というポジティブなリアクションをお願いし、「先の見通し」を示すため、今後物資支援から、仕事・教育・心という3つを柱とした自立支援に軸足を移す方針を打ち出した。時には自分たちの歩みを振り返り、ねぎらい合う場を持つ事も持続可能な支援体制をつくる上で重要である。