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2012/03/17更新

成毛眞のスティーブ・ジョブズ超解釈

  • 成毛眞
  • 発刊:2012年2月
  • 総ページ数:222P

142分

3P

  • 古典的
  • トレンドの
  • 売れ筋の
  • すぐ使える
  • 学術系
  • 感動する
  • ひらめきを助ける
  • 事例が豊富な

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ジョブズの真似をしてはいけない

ジョブズに憧れ、ジョブズ関連本の類を読みあさる人たちも、さすがに自分がジョブズになれると本気で思っている人はほとんどいないだろう。一方で、彼から「クリエイティブ」で創造性に溢れた生き方や仕事術を学ぼうとしている人はいるはずだ。

しかし、あなたは、決してジョブズのようにはなれない。それどころか、彼の生き方からヒントを得て、自分の新しい可能性を導き出そうとすればするほど、実は成功から猛スピードで遠ざかってしまう。

創造性というものは「他と異なる」という事が大前提である。つまり、自分が他の誰にも思いつかない事を実現できるということである。しかし、100万人がジョブズの伝記やビジネス本、自己啓発書を読んでいる。これは、自分と同じような考え方の人が100万人いるという事である。ジョブズの英雄譚を読めば読むほど、創造性とは真逆の方向に爆走することになる。

神やヒーローとしてのジョブズは、物語のジョブズであって、実際のジョブズとは違う。つまりアイドルのようなものである。

ジョブズはマーケティングを理解していた。自分の作ったモノを売るためには知名度が必要だ。彼は自分の人生を物語にし、自分のモノを売るために利用してきたと言える。ジョブズのサクセスストーリーは、アップル製品を買わせるための仕掛けの一つである。ジョブズは芸術家でも聖人でもなく、ただのビジネスパーソンである。

様々な偉人や哲学者の残した本は、それを使って人生を豊かにするために存在している。まずは自分の人生をしっかり生きること。

ジョブズは天才ではない

本当に天才だと考える人々に共通するのは、彼らの発想の「始まり」をたどることができない点である。とにかくある瞬間から突然0が1になっている。例えば、アインシュタインがそうである。一方、ジョブズは有り物を集めて組み合わせただけに過ぎない。だからジョブズの偉業には、賞賛するが感動はしない。

経済的に重要な発見というのは、次に巨大なビジネスや技術革新を誘発する潜在性を秘めているかで決まる。その立ち位置から見れば、iPhoneの与えたインパクトは大したものではない。電話にパソコンの機能を付け加えて、ちょっと面白い操作感にしただけである。

ジョブズの最も優れた能力は、想像しかできない1歩先の未来よりも、半歩先の未来を手に取れる形にして世界に与えることだった。たった半歩でも未来が形になって、それを手に取れるなら、使ってみたいと誰もが思うはず。ジョブズはそのことを知っていた稀有なビジネスパーソンだったのである。