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2012/05/29更新

体制維新――大阪都 (文春新書)

222分

4P

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大阪都構想とは

大阪都構想では、今の大阪府庁も大阪市役所も解体して、新たな大阪都庁にする。大阪市内にある24区は中核市並みの権限と財源を持つ8区ほどの特別自治区に再編する。そして、周辺市にも中核市並みの権限と財源を移譲する。

都は大阪全体の成長戦略や景気対策・雇用対策、インフラ整備などの広域行政を担い、特別自治区は基礎自治体として、教育や医療、福祉といった住民サービスを受け持つことになる。

なぜ大阪都が必要なのか

・ニア・イズ・ベター
欧米で生まれた「ニア・イズ・ベター」という思想が日本にも必要である。身近なところで決めた方が良い、という考えである。自分のお金を使う人は他人のお金を使う人より賢い。従って、まず個人のお金を増やそう、次には市町村、身近な基礎自治体の権限とカネを増やそう。その次が広域自治体、そして国と考える。

この思想が、行政機構改革の基本になって、今では都市間競争に向かっている。ところが日本だけが未だに明治以来の中央集権体制をとっている。中央官庁がカネと権限を握り、各地方自治体に補助金をつけ、道路でも文化施設でもプロジェクトのすべてを中央が決めている。

しかし、住民の要望は多様化している。住民の意向がわかるのは、基礎自治体である。これは大き過ぎると、住民の意思を十分に反映できない。大阪市民は260万人いるが、今の大阪市は住民とフェイス・トゥ・フェイスの仕事をするには大き過ぎる。

大阪市には24の行政区があるが、区長は東京23区の区長と違って、選挙で選ばれるのではなく、市長から任命された大阪市役所の職員が務めている。権限も財源もない一役人である。そのため、役人特有の横並び意識で余計なことはやろうとしないし、そこまでの決定権がない。

・二重行政
大阪府庁は府全体をカバーする行政機関なのに、大阪市内の行政には手を出さないという暗黙のルールがある。大阪市内は大阪市役所のテリトリーとなっている。

都道府県並みの体育館も図書館も大学も浄水場も、狭い大阪府域内に、府立と市立の両方があり非効率な形態になっている。そのため、大阪市民一人当りの借金は163万円と、東京都55万円、横浜市99万円と比べて非常に高い。

二重行政の問題は、大阪全体に影響する広域行政においても大阪の発展を阻害する原因となっている。例えば、関西国際空港と大阪市内を結ぶ鉄道問題、地下河川など大阪全域で考えるべきことが、大阪市民の視点だけで進められてしまう。

大阪都が実現すれば、産業政策、観光戦略、国際ハブ空港戦略、都市計画など、大阪全体に影響する戦略が一本化される。高速道路、水道などの広域インフラも整備される。ビジネス環境を整えることで、ヒト・モノ・カネを集め、大阪を日本を引っ張るエンジンにさせることが、大阪都構想の目的である。