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2012/02/28更新

円高の正体 (光文社新書)

146分

4P

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為替レートの動きは、インフレ予想の差で生じる

為替レートは、2国における将来の物価についての予想の格差の変動によって動かされている。そして、「将来の物価のについての予想」は、「金融政策の積極性」に大きな影響を受ける。日本とアメリカの場合には、以下のように動く。

①日本銀行が断固たる意志を持って景気を良くしようと、積極的に金融緩和(≒量的緩和)をしてマネタリーベース(中央銀行が供給するお金)を増やす

②この時、投資家は、日本が将来インフレ率の上昇に向かうだろうと考える

③こうして日本の予想インフレ率が上昇する一方、アメリカで予想インフレ率の変動が起こっていなければ、相対的に日本の予想インフレ率が高くなり、実際の為替レートも円安になる

現在のドル安/円高を引き起こしているのは日米の予想インフレ率の差の拡大である。その原因となっているのが、中央銀行の金融政策の違いである。リーマンショック後、アメリカのマネタリーベースが劇的に拡大する一方、日本のマネタリーベースは、それほど増えなかった結果、大幅な円高になった。

円高の正体、デフレの真の正体

現在における円高の進行は、デフレの進行と同じタイミングで起こっている。デフレは、国全体のモノやサービスの総量に対し、国全体のお金の総量が少な過ぎるために起きる。お金の総量が少ないために、モノやサービスの相対的価値が下がり、逆に円の相対的価値が上がる。

著書『デフレの正体』において、デフレの原因は「生産年齢人口の減少である」と説かれている。しかし、現役世代の人口が減少している国の中で、デフレが起こっているのは日本だけである。日本のデフレは「生産年齢人口の減少」以外の理由で起こっている。

長引くデフレは、将来もデフレが続くという「デフレマインド」を定着させ、「予想インフレ率の低下」をもたらし、結果としてアメリカと日本の予想インフレ率の差を拡大させる形で「円高」を引き起こしている。

現在の円高とデフレは、日銀のマネタリーベース供給量が不足していることから起こっている。日米の予想インフレ率を縮小し、円高を解消し、デフレを脱却するには、日銀は大規模な量的緩和政策を行う必要がある。

・名目経済成長率2%達成には、追加28.8兆円の供給量が必要 → 1ドル95円に
・名目経済成長率4%達成には、追加78.8兆円の供給量が必要 → 1ドル115円に