中国模式(チャイニーズ・モデル)を理解するには、中国社会について知る必要がある。
社会
・中国は政治体制は社会主義だが、経済は究極の資本主義である
・中国人は感情ではなくカネで動く
・北京っ子の将来の夢は、マイホームを買うこと。しかし、一般の北京市民が50㎡のマンションを買うには、44.6%の市民が60年分以上の年収総額を必要とする
・マンションが高い→買えない→結婚できない→子供が増えない→高齢化へ一直線という図式になっている
・1989年の天安門事件以降、21年間で地価総額は6732倍に
ビジネス
・中国人にとってカネへの強烈な執着は、周囲への不信の裏返し。政府、同級生、同僚は信用できない。基本的に「性悪説」で社会は成り立っている
・日系企業に勤める中国人の内、優秀な人材ほど次の転職先を探す。世界一の人材大国では一歳でも若い方が有利となるため、転職を考えるのは28歳まで
・中国企業に共通するのは、完全なトップダウンであること。とにかくトップに会って話さないと何も始まらない
・転職社会であるため、現場担当者がころころ変わる
経済
・抜き去った日本に興味はなくアメリカが目標。内需主導型経済への転換が課題
・消費者物価指数は2011年に5%を超え、狂乱物価の時代に
・所得の貧富格差は拡大
・年間640万人もの新入社員を受け入れる余地がなく、中年社員がリストラされる
・人材の観点から、中国市場は半永久的に企業の買い手市場。庶民は生活苦に喘ぐ
・民営の中小企業は、原材料や電力、賃金などの高騰で経営は厳しい
・人民元の国際化を経済発展の切り札と考えている
政治
・共産党と政府の幹部は5年サイクル(一度の再任が可能)で一斉交代する
・特に大事なのは、5年に一度の共産党大会で発表される中央政治局常務委員の顔ぶれ「トップ9」と言われる人々。この9人の合議制であらゆる重要事項が決まる
・習近平の人脈、金脈は福建省に片寄っている。福建省の海峡を挟んだ先は台湾である。習近平新政権は、台湾との関係強化と両岸の経済一体化を推進していく。
・習近平の盟友は重慶のトップで革命を起こしてきた。重慶模式と呼ばれる「第二の文化大革命」のような方針が取られる
外交
・中国外交とはすなわち、対米外交である。あらゆる外交は対米外交に通じる
・アメリカン・スタンダードvs中国模式が、21世紀の覇権戦争である
・中国は経済的プレゼンスでもって、アメリカの軍事的プレゼンスに対抗しようとしている
・エネルギー問題が深刻になり、原油ルートが生命線に。海軍を増強
・アメリカ国債を1兆1598億ドル分所持。アメリカの量的緩和でインフレに
・米中はASEAN諸国の囲い込みに躍起になっている。TPPは経済的中国包囲網