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2012/03/13更新

限界集落の真実: 過疎の村は消えるか? (ちくま新書)

228分

6P

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限界集落は消滅するか?

限界集落とは、65歳以上の高齢者が集落の半数を超え、独居老人世帯が増加したために、社会的共同生活の維持が困難な状態に置かれている集落のことを指す。この状態からやがて限界を越えると、人口・戸数ゼロの集落消滅に至るとされている。

過疎地域の少子高齢化と人口減少によって、特に条件の悪い集落は消えてしまうと予言する限界集落論は、2007年頃から注目を浴びた。

多くの過疎集落で今、人口減少が進むだけでなく、高齢化率が高くなっている。しかし、高齢化率が高いから、集落の解体がすぐに起きるわけではない。年寄りばかりになっても、助けがなければ生活が崩壊するという状況にはなく、人々は今も普通に暮らせている。

これまで、明らかに目に見える形で「高齢化→集落の限界→消滅」が進行した事例はない。政府は「191の集落が消滅した」という数字を発表している。しかし、この原因は、ダム移転、災害移転、行政による集落再編など人為的なものや、挙家離村などであり、高齢化による限界消滅という事例はない。

過疎集落は簡単には消滅しないが、今、将来に向けて存続するかしないかという状態にある。

限界集落問題は、世代間の地域継承の問題

超高齢地域が現れるのは、高齢者が定着している一方で、その下の世代が「排出」し、子供を産む世代がなく「少子化」が進行していることによる。つまり、三世代が村落と都市、中央と地方の間で住み分けた結果である。人口バランスに生じる問題は、人口の移動か出生によって解消するしかない。

限界集落問題は、政府や行政がどう救うかという発想以前に、地域の中で暮らす人々自身がどうしたいのか。当事者たちの主体性が問われることになる。これまでのように、国家発・専門家発の議論ではなく、集落発・家族発、個々の暮らしの中から発する議論にならねばならない。

限界集落問題解消の切り札

限界集落問題の解消で期待されているものに「T型集落点検」という方法がある。この方法では、集落を家族の集合体として捉える。家族を集落に住む人達だけでなく、今はここに住んでいないが、時々帰ってきたり、将来帰ってくる可能性のある人々にまで広げ捉えていく。集落から他出した子供たちも村の一員である事を確かめさせ、村の将来を考える手法をとる。

大抵の家では、他出した子を近くに持っており、何らかの帰る準備をしているもので、村の皆でこれに気づくことが大きい。気づけば、実現するように努力し、地域が主体性を持つ。これに行政の支援が重なり合うことで、しっかりした展望が開ける可能性が出てくる。

但し、親元への帰還よりも、親を都市へと呼び寄せる事が主流になっていくと、地域社会が途切れる可能性がある。