「ドンキーコング」誕生から、ファミコン、ゲームボーイ、3DS、Wiiまで。任天堂の歴史が語られている本。米国における創業期の苦労から、大ヒットまでの話やプレイステーション台頭による任天堂苦戦の話など、任天堂のことについて詳しくなります。
30年ほどのゲームの歴史の中で、任天堂がどのように変化していき、イノベーションを生み出してきたか、その創造力を感じ取れます。

スーパーマリオのゲームソフトは、全世界で2億4000万本販売された。任天堂のマリオの売上金額はざっと見積もって120億ドル。
マリオがユニークなのは、たいして魅力的に見えない点である。ゲームは、双方向的である点で他のエンターテインメントと一線を画す。マリオの平凡なペルソナは、プレイヤーの誰もが自分を重ね合わせることができるヒーローとして魅力を持っているのである。

任天堂に関するあらゆることはマリオにつながっている。スポーツゲーム、格闘ゲーム、パズルゲーム。マリオは任天堂と、ゲームをプレイすること、「楽しさ」という概念を体現する言葉になった。

しかし、今や任天堂はマリオ抜きで戦わなくてはならなくなっている。ライトユーザーを引き付けようとする任天堂の試みには、30年間強力な武器であったマリオは使えない。マリオはコアなゲームであり、ライトユーザー向けではない。
WiiやDS用の生活に密着したゲームが王座につき、マリオはもはや任天堂最大の呼び物ではなくなった。

今は2種類のゲームが対立している時代である。しかし、この先ライトユーザーが物語のあるゲームを受け入れ、コアプレイヤーがゲームのないアクティビティを受け入れる時代がくるだろう。スーパーマリオは還ってくる。ゲームの世界に横たわる深い亀裂を埋める新しいゲームにおいて、マリオはこれまで以上の大スターになる。

著者 ジェフ・ライアン

ゲームジャーナリスト 「Salon.com」「All Things Considered」等で活動する人気ゲームジャーナリスト。 1990年代、１日100万以上のユニークアクセス数を誇った伝説的なエンターテインメントニュースサイト「Katrillion.com」の編集者として活躍。同サイトで500本以上のゲームソフトをレビューした。任天堂のトップ開発者たちにもインタビューを行なっており、ポップカルチャーにも造詣が深い。