一日で結論を出す
日産の会議の1つに、その日の内に結論まで達する「一日集中討議」がある。スピーディーに集中討議で結論を出すためには、3つのポイントが重要である。
①会議自体を、1日で結論を出す設定にする
人は時間が限られている時、ここぞの集中力を発揮して成果を出す。会議を「一日集中討議とし、結論の持ち越しなしない」というルールにすれば、参加者は1日で結論を出すべく進行するようになる。時には強行採決的に結論が下される事も起こりうる。
②周到に準備する
話し合う課題は何か、課題解決によって目指す目標はどのくらいに設定するか、を明確にしておく。また、集中討議当日の綿密なスケジュールを立てておく。
③会議を視覚化する
・問題の原因の洗い出し:系統図
問題の要因を洗い出す時には「系統図」を使う。系統図は1つの問題を原点に「なぜ」「なぜ」と原因を深めていく事によりできるツリー構造の図である。
・方策を出す:親和図
日産の会議では、参加者は考えたアイデアをポストイットに書き、それを模造紙に貼っていく。アイデアが全て出た後で、関連するアイデアをグループ化し、各グループの上に見出しを貼る。
・方策を評価する:ペイオフ・マトリックス
提案がまとめられていくと、どれを方策の候補とするか、優先順位をどうするか議論する。日産の会議では、実現性(実現までの期間)と実効性(効果の大小)それぞれについて、最高評価5点から最低評価1点まで5段階で評価する。
縦軸に実現性、横軸に実効性をとったグラフに、各方策が書かれたポストイットを貼っていく。
意思決定者は会議に出席しない
日産の会議では意思決定者は会議の本体には参加しない。会議では意思決定者が発言すると、その発言によって他の社員が影響を受けることがある。しかし、会議に出なければ、部下は自由に議論できる。
また、意思決定者は通常、上役である。役職が上位の者ほど大いに語り、課題の範囲を広げてしまう。こうした人物が出席しなければ議論の拡散を防ぐことができる。
議事録を作らない
方策が採用になると、壁一面に貼られた模造紙をデジタルカメラで撮影する。課題についての質問、系統図、親和図、ペイオフ・マトリックス、何を、誰が、いつまでにやるかといった結論が書かれた「課題達成計画書」。これら会議のプロセスの中に議事録づくりの機能が組み込まれている。
発言者を特定しない
会議では、メンバーがアイデアや提案をポストイットに書き、模造紙に貼っていくが、ポストイットには書いた人の名前は書かない。このルールが、自由闊達な討議をもたらす。