気づかいとは
欧米流の考え方では、サービスの質は支払ったお金の額に比例する。サービスとはお金で買うものである。しかし、「気づかい」はサービスではない。気づかいとは「他者を慮る」ことである。相手が「欲しい」と言う前にその気持ちを汲み取り、さりげない行動で示す。相手のことを思い、自分がしたいからそうする。これが、日本人にしかできない気づかいである。
ディズニーは何十年も前から三越と業務提携してきた。それは、日本的な気づかいを接客の仕組みとして取り入れたかったからだと思うが、結果としてうまくいかなかった。なぜなら、気づかいは文化的なものであり、日本が古くから培ってきた空気のようなものだからである。
料亭と三越とディズニーで学んだこと
・自分が大切だと思っている人に対し、「この人は何が好きなんだろう?」「何をしたら喜んでくれるんだろう?」と考え、実際にしてあげること。これが気づかいの本質である。
・相手を大切にする。和を大切にする。四季を大切にする。そんな感性から生まれる人への細やかな配慮や繊細な所作こそ、日本人にしかできない気づかいである。
・三越で接客などのスキルを学ぶ中、教訓になったことは、意識することの大切さである。気づかいに必要なことは意識である。意識を持つと、身につけたスキルは他のあらゆる物事と結びつき、応用がきくようになる。周囲を見渡そうとする意識、人の気持ちを察しようという意識。そうした意識のアンテナを立てておくことが、気づかいの能力に直結する。
・ディズニーでは、高い接客能力に加えて、モチベーションを保つ仕組みがしっかりしている。マニュアルはなく「ディズニーのためにどうしたらいいか」を考えさせ、実行させることをモチベーション管理で行っている。
気づかいで大切なこと
・気づかうことで自分も楽しむこと
・感性を磨くこと
・気持ちを率直に表現すること
・引きどころを知ること
気づかいが上手になりたければ、気づかいのできる人をよく観察することである。
人と関わり合う上で欠いてはいけないこと
・仲良くなることが物事を円滑に進めるためには一番いい方法である。しかし、仲良くなるには好かれようとしてはいけない。「媚びた気づかい」は必ず見破られる。自然な気づかいの所作を続けていけば、必ず誰かが助けてくれる。
・良好な人間関係というのはコミュニケーションの量が左右する。毎日欠かさずに話すことが「この人はこういうことを考えているのか」といった安心感をつくる。
・相手との距離を縮めるには、「あなたに興味がありますよ」というサインを送ってあげることである。そして「記憶する」ということが大切な要素となる。