ケータイの特性
ケータイ、スマートフォンが画期的な事業モデル革命の変革を起こし得る背景には、携帯電話ならではの5つの特性がある。
①本人性
携帯電話の所有者を特定できる機能のこと。携帯電話では、ほとんどの場合一人一台の保有なので持ち主の特定が容易である。所有者の属性が把握できれば、その人にマッチした情報やサービスを提供することが可能となる。
②常時性
携帯電話を常に帯同し、活用していること。ほとんどの人が日中に携帯電話を持ち歩いており、日常生活に不可欠なツールになっている。
③位置の特定性
携帯電話の現在位置を把握できること。オートGPSという機能を使えば、5分に1回の頻度で位置を特定することも可能である。
④ネットワーク性
様々な人やモノが携帯電話を通じて簡単につながること。一人のユーザーは、iモードで100回弱のページビューがあり、受信7通、送信4通のメールをやり取りしている。さらに通信モジュールを埋め込むことで、カーナビやカメラなどのモノにもつながる。
⑤リアルへの拡張性
携帯電話を通じてインターネットとリアルな世界がつながること。日本では電子マネー、電子クーポン、定期券等のサービスが展開されてきた。
これら5つの機能は「ケータイならでは」である。この内いくつかが組み合わされることで、消費者の5W1Hはこれまで以上に見えるようになり、より消費者の利便性が高まっている。
モバイルパワー
ケータイの5つの特性は、5つのパワーをもたらし、新しい事業モデルを生んでいる。
①個客の見える化
消費者が誰なのかを把握するコストを削減し、個を特定した新しい事業モデルを構築することを可能にした。
ex マクドナルドの「かざすクーポン」
②個客ニーズの顕在化
個客が何を欲しがっているかを把握するコストが削減される。消費者を深く理解し、最適な商品・サービスを提供可能にした。
ex クックパッドのレシピ分析
③商品・サービスのマイクロ化
モノやサービスを販売する固定費、流通コストが縮小され、商品・サービスを小分けにして提供可能になった。
ex ドコモ「ワンタイム保険」
④商品・サービス提供の適時化
商品・サービスに関する情報提供コストが下がり、タイミングに関する自由度が大幅に向上した。
ex ドコモ「iコンシェル」、ローソンのデジタルサイネージ
⑤商品・サービス提供チャネルのポータブル化
個客の購買に関するコストが大幅に軽減される。結果として、購買・決済プロセスを簡易化することが可能になった。
ex モバイルSuica、ドコモケータイ送金
日本発のモバイルパワーを活用したサービスやインフラは、今後急速にグローバルに広がっていく可能性を持っている。