日本株5000億円を運用してきたカリスマ・ファンドマネージャーによる株式運用方法。京都大学で講義をした内容が本にまとめられている。株式投資の鍵は「情報収集」であると説き、投資運用の基本的な考え方を教えてくれる。
プロでなくてもできる、株式投資の方法も紹介されている。
日本人の国民性、思考過程とそれを支える心理的な基盤がそもそも投資に向いていない。
欧米人は、キリスト教やユダヤ教を中心とする唯一絶対の一神教の環境で生まれ育つ。神の存在する世界が、現実の自分達の生きる世界とは違う世界にある、というビジョンを持ち、今の自分とは違う別の所に理想とすべき何かがあるとする。「価値」を今ではなく「理想の自分」や「将来」に置く。
一方、日本人は「今」に「価値」を置く。「今」に一番の価値があると考えると「目の前の現実」を最も大切なものとしてしまう。だから目の前の手触りのあるお金、預貯金として置いているお金が最も価値あるものになる。
投資に最も大事なのは「将来」というビジョンを持つことである。「将来」は「今」の延長線上にあるのではなく、今とは全く別のモノと考え、そこに価値を置くことである。欧米人はこうしたビジョンを持ち、理想の将来を支える金融資産の額を考え、そこから逆算で今投資として何をすべきかを考え行動する。
著者 藤原 敬之
1959年生まれ。著述家 元藤原オフィス・アセット・マネジメント代表取締役 大学卒業後、農林中央金庫に入庫、国内および米国株式を運用。野村投資顧問(現野村アセットマネジメント)に移り米国・英国年金の日本株式運用を担当。 クレディ・スイス投資顧問(現アバディーン投信投資顧問)で資産運用部の株式ファンドマネージャー、クレディ・スイス信託銀行で、日本株式運用部のマネージングディレクターを経て、日興アセットマネジメント社内に、業界史上初の個人名を冠した「藤原オフィス」で運用を担当。
週刊 東洋経済 2012年 1/21号 [雑誌] |
ビジネスブックマラソン 土井 英司 |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
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序 文 | p.9 | 4分 | |
第一章 ファンド・マネージャーとは何か? | p.15 | 17分 | |
第二章 株式運用の基本とは?そして独自の運用とは? | p.43 | 28分 | |
第三章 情報をどう処理すべきか? | p.89 | 16分 | |
第四章 株価とは何か? | p.115 | 30分 | |
第五章 日本人はなぜ投資が下手か? | p.165 | 12分 | |
第六章 日本人とは何か? | p.185 | 19分 |
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