構造的対話5つのステップ
千載一遇の変化による不連続な市場変化に対応するためには、将来の機会とリスクを踏まえたビジョン、戦略、実行に関する構造的対話から始める。対話により、今までのビジネスのやり方から離れて、より確実に経営資源を獲得できる。対話には5つの「力の階層」からなるフレームワークを利用し、自社が置かれている経済的競争を評価する。
①カテゴリー力
現在のポートフォリオを客観的に評価し、有望な代替カテゴリーを見つける必要がある。ここでなすべき質問は以下の通りである。
・当社の成長カテゴリーはどれか
・当社の成長を阻害する低成長カテゴリーはどれか
・将来の成長目標に対し、ポートフォリオのバランスは取れているか
・新規カテゴリーへの参入、既存カテゴリーからの撤退は必要か
前年度の事業計画には現在のカテゴリーが企業の仕組みとして固定化され、経営資源が既に割り振られている。ゆえに、そのカテゴリーに参入すべきかではなく、そこに至るのを妨げている力にどう対抗するかに多くの時間を割くべきである。
②企業力
競合他社に対する戦略的位置づけを変えるために、自社が参入しているカテゴリーにおいて強力かつ長期的な優位性を提供する資産や能力「クラウン・ジュエル」を獲得・管理する。
・当社の「クラウン・ジュエル」は何なのか
・当社のイノベーションへの投資は「クラウン・ジュエル」にフォーカスしているか
・差別化を提供するコアではない分野では、十分な最適化・合理化を行っているか
メリハリの効いた投資は企業力を作り出す基本である。
③市場力
市場セグメントのリーダーは、そのセグメントで長期的優位性を維持でき、セグメントが属する市場全体のリーダーよりも優位に立てる。ここではフォーカスが重要である。
・市場セグメントは重要とみなされるほど大きく、同時に決定的に勝利できるほど小さいか
・当社の市場へのコミットメントは市場力を獲得できるほどフォーカスが効いて、強力か
④製品力
経済的な成功は、メリハリの効いた投資を行ってこそ達成できる。お気に入りを複数決め、その内のどれが投資に値するかを討論し、最後まで戦い抜かなくてはならない。
・この製品はヒットが確実なのだろうか、十分な差別化要素があるか
・差別化要素をさらに拡大するためには何ができるか
⑤実行力
競合他社より先を行くためには、差別化を実現するのに十分なイノベーションを行う。次に差別化の基盤となる活動を制度化し、長期的に維持可能にしなければならない。さらに組織を古いやり方に戻ることなく、新しい形態で先に進める転換点まで移行しなければならない。
・各事業ラインの状況と優先すべき実行モードを理解しているか
・必要とされる実行モードに適したタイプのリーダーがいるか