優れたマネジャーとは
ドラッカーは、健全な成功へのカギは、成果をあげる、組織をうまく束ねて動かす、貢献する、能力を高める、備えを怠らない、目標を達成する、などと心得ていた。
その思想を支える大きな前提は「マネジメントの神髄は実行にある」というものである。そして実行に秀でるためには「業績こそが成功の尺度である」と肝に銘じておく必要がある。
ドラッカーが理想とするマネジャー像は以下の通り、ここにマネジメントの実践をめぐるドラッカーの思想が詰まっている。
・採用、解雇、統率などをそつなく行い、部下を取り立てることもできる
・結果への責任をすべて果たす
・上役をうまく動かす術を知っている
・時間軸を十分に念頭に置いたうえで、情報やデータをもとに判断を下す
・自分の頭で徹底的に考え抜き、その結果をまわりにうまく伝える
・事業プランの立案や実行を得意とする
・何をすべきかを自問して、ゼロから優先順位を考え直す
・会議では必ず課題を明確にする
組織のほころびを防ぐ
ドラッカーは「具体的な使命を掲げるのがマネジャーの仕事である」と説く。一般の働き手は具体的な使命が示されない限り、組織の目標達成に向けて、自分がどう貢献すべきかわからない。マネジャーは、以下のように組織のほころびを防ぐ必要がある。
・適材適所を心がけ、強みを最大限に引き出す
・優先すべき仕事を紙に書き出す
・外向きの発想をする
・制度、方針、業務の手順などを見直す
・報酬のありかたを再検討する
顧客の視点に立つ
ドラッカーは「企業の目的は顧客を創造することである」と説いている。顧客の視点に立つ事が企業の繁栄に欠かせないのは、次の原則による。
・結果や経営資源は会社の外にある
・結果は、問題の解決ではなく機会の探求から生まれる
・結果を出すには、ヒト、モノ、カネを事業機会に投入せねばならない
・本当に意味ある成果を手にするのは市場リーダーである
・リーディング企業の地位ははかない
・ものごとはすべて古びていく
・ヒト、モノ、カネの配分はたいてい誤っている
・業績を最大化するには、一部の分野に努力を集中させることである
過去と訣別する
過去と訣別するという考え方は、ドラッカーの原点ともいえる思想である。成長戦略の第一歩は、どの分野をいかに伸ばすかを考えることではない。「どの分野から撤退すべきか」こそ、最初に考えるべき点である。チャンスを最大限に活かそうとすると、過去と訣別して将来を切り開くための方法が見えてくる。将来へ向けた挑戦への備えができる。
・成果があがらない人材や、企業理念を守れない人材には去ってもらう
・利益をあげている事業といえども、翳りが見えたら撤退を考える