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「自分で育つ人」になる

勝負を背負って、たった一人で複数の相手に立ち向かう場面では、緊張感とともに孤独感を抱くはずである。しかし、孤独に勝てなければ、勝負には勝てない。孤独に勝つ強さは「野心」を抱くことから生み出される。向上心よりも、「レギュラーの寝首をかいてでもポジションを奪ってやろう」と心に秘めるのが一流への近道になる。

不安もなく生きていたり、絶対的な自信を持っている人間などいない。試合開始まで横になって寛ぎ、グラウンドに出れば活躍するといった選手になれたら練習は必要ない。しかし、練習なしにそのような選手になることは不可能であり、誰もが不安を抱えてプレーしているからこそ、不安を払拭しようと練習する。

ビジネスマンもプロ野球選手も、自分、相手、数字という3つの敵と戦っている。数字と闘うことは一流のプロでも容易ではない。数字との闘いを克服するには「達成するのは不可能ではないか」という目標を設定することである。打率3割を超えられない選手は、3割を目標にしているケースがほとんどである。3割の壁を突破していく選手は、3割3分あたりを目標にしている。

勝つということ

監督に就任してから、ずっと投手力を中心とした守りの安定感で勝利を目指す戦いを続けてきた。投手力はある程度計算できる。これは勝つための選択である。試合は「1点を守り抜くか、相手を0点にすれば負けない。負けない努力が勝ちにつながる。

どんな局面でも采配というものは結果論で語られる。采配の是非は、結果とともに歴史が評価してくれる。ならばその場面に立ち会った者は、この瞬間に最善と思える決断をするしかない。

勝負に絶対はない。しかし、「勝負の方程式」(勝負を少しでも優位に戦っていくための原則論)を駆使して最善の策を講じていけば、仮に負けても次に勝つ道筋が見える。

プロ野球選手という仕事は、何も実績も残せずに消えていった者の方が圧倒的に多い。それでも、違う世界で名を成した人は大勢いる。人生はどこでチャンスが訪れたりするかわからない。
道の先にある「勝利」の定義は、人それぞれである。ただひたすら勝利を目指していくというプロセスが人生というものである。

私は誰よりも練習し、三冠王を獲得することに執念を燃やしてきた。だが、ユニフォームを脱いで帰宅すれば、三冠王の栄光も、高額な年俸にも何ら執着はない。ファームで燻っていた若い頃と同じように、仕事を終えたら一杯の白飯が食べられればいい、それに焼き鮭でもつけてもらえれば十分に幸せという人間である。

人生を穏やかに生きていくことには、名声も権力も必要ない。人生の素晴らしさは、誰と比べて幸せだから、というものではない。大切なのは、どういう境遇にあろうと、人生を前向きに采配していくことである。