製造業の雇用の減少や国の債務残高の増加により、アメリカが衰退の道を歩んでいる。近年の金融業の拡大によって、最も高い代償を払わされたのが中流層であり、彼らは窒息させられている。
アメリカの崩壊を解説しながら、アメリカをどのように立て直すかを提言している。アメリカで影響力のあるインターネット新聞「ハフィントン・ポスト」の創設者が書いている本。
製造業はこれまでアメリカ人を中流に導き、その階層にとどめてきた仕事であるが、このブルーカラーの職の消失は数十年続いている。その原因がアメリカ経済の金融化であり、金融危機の直前にはアメリカの企業収益の40%以上が金融業に入っていた。
金融危機後、毎月12万以上の世帯が破産するなど、中流層が哀れな状況に追い込まれている。このような状況になったのは、政治の責任である。民主主義はロビイストたちによって、私利私欲の駆け引きにとって代わられ、特定の利益団体のために政策が行われるようになってしまった。そして、中流層のためのロビイストはいない。
第三世界への衰退を阻止するには、政府と民間の両部門からの大胆な発想が必要であり、1人1人が責任を持って事態に対処する必要がある。
著者 アリアナ・ハフィントン
1950年生まれ。『ハフィントンポスト』創設者 スライブ・グローバル社の創設者・CEO ネット専門のニュース・ブログサイトとして2005年にスタートした『ハフィントンポスト』はたちまち評判になり、多数の読者を獲得。他メディアへの引用やリンク掲載も多い。2012年にはピューリッツァー賞(国内報道部門)を受賞した。 2016年、「“成功するには燃え尽きという代償が不可欠"という集団妄想を終わらせ、人々の働き方と生き方を変える」ことを理念に掲げ、新会社スライブ・グローバルを設立。 同社は、人々の健康と生産性向上のため、最新の科学的知見にもとづくトレーニング、セミナー、eラーニング講座、コーチング、継続的サポートなどを世界各地の企業および個人に提供すると発表している。 近年では、タイム誌の「世界で最も影響力のある100人」、フォーブス誌の「世界で最もパワフルな女性100人」に選ばれたことがある。 また、タクシー・ハイヤー配車サービスのウーバー・テクノロジーズや、非営利の調査報道組織センター・フォー・パブリック・インテグリティなど、多数の企業および組織で役員を務めている。
週刊 ダイヤモンド 2011年 11/26号 [雑誌] |
TOPPOINT |
日本経済新聞 北海商科大学教授 古矢 旬 |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
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はじめに | p.9 | 2分 | |
1章 第三世界アメリカ | p.13 | 31分 | |
2章 中流街の悪夢 | p.57 | 39分 | |
3章 アメリカは朽ち果てる | p.113 | 24分 | |
4章 誰がアメリカン・ドリームを殺したか | p.147 | 33分 | |
5章 アメリカを第三世界にしないために | p.195 | 61分 | |
あとがき | p.283 | 3分 |