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2012/04/15更新

日本を捨てた男たち フィリピンに生きる「困窮邦人」

236分

14P

  • 古典的
  • トレンドの
  • 売れ筋の
  • すぐ使える
  • 学術系
  • 感動する
  • ひらめきを助ける
  • 事例が豊富な

対象読者:

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吉田正孝(仮名)48歳

愛知県内にある自動車部品の工場で溶接の派遣社員を続け、生きる楽しみを見出せなかった吉田。フィリピンクラブで出会ったジャネットを追い掛けてフィリピンへ渡航する。持ってきた現金は20万円。3ヶ月後には帰りの飛行機代金も使い果たし、ジャネットにも追い出され、辿り着いたのがバクララン教会であった。

フィリピンという異国の地でホームレス。吉田の1日は、教会内にある公衆トイレの場所を確保することから始まる。毎朝5時半頃にトイレが開くのを並んで待つ。順番が遅くなると同じ路上生活者の痰や小便で床が汚れてしまう。
午前6時になると教会近くのフィリピン人女性が経営する露店に向う。吉田はここで掃除や揚げ物用の野菜を刻んだりする仕事で日当20ペソ(約40円)を受け取る。食事は食べさせてもらい、午後になると教会周辺を散歩するなどして時間を過ごし、夜に教会の長椅子に戻って眠りにつく。

浜崎貞雄(仮名)58歳

元新聞配達員。新聞配達という職業に就くまで、浜崎は飲食業界を転々とした。都内の工業高校を卒業したが大学に進学せず、調理師の専門学校に通う。卒業後、飲食店で働くが、どの職場でも「合わない人がいる」という理由で長続きせず、調理師を辞めた。無職の状態が続いた後、新聞配達に辿り着いたときは50歳近かった。雨の日も風の日も新聞配達を続けること10年。

何の変哲もない空虚な毎日を送っていた浜崎に転機が訪れた。知人から「フィリピンであれば結婚できるかもしれない」と持ちかけられた。孤独感からの脱却、若い肌への欲求が入り交じり、知人の誘いに乗った。これが偽装結婚だということは知る由もなかった。

日本から持ち込んだ所持金5万円はすぐに底を突いた。親類とは長年音信不通で、帰国の手段はなかった。結婚相手の家族からは邪魔者扱いされ、近所の日本人男性が経営する自動車部品販売店に転がり込んだ。そこで掃除をする代わりに食事の世話を受ける生活が2年以上続いている。

須藤亮介(仮名)37歳

父親が経営するトラック運送業の運転資金を勝手にフィリピンクラブにつぎ込み、借金したことが始まりだった。消費者金融4社から借りた金を返済できず、ヤクザから借金し雪だるま式に増えた。借金地獄から逃れるために、須藤はフィリピンへ逃亡した。

逃亡のアドバイスをくれた知人の紹介で、家電修理店で世話になっが、家賃を払わないと追い出され、知人とも連絡が取れなくなった。
逃亡生活早々に困窮状態に陥った須藤は、路上に止まっている20人乗りのジープで寝泊まりすることになる。その後、知り合ったフィリピン人の知人を伝って職を転々とする。資材運搬、肉の配送、家電修理、簡易食堂。生きているだけ。仕事以前に、どうやって日々生きるかという人間の原点に須藤は立ち返っていた。