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2012/01/19更新

「しがらみ」を科学する: 高校生からの社会心理学入門 (ちくまプリマー新書)

115分

8P

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社会問題≠心の問題

社会現象について、一人ひとりの心に原因があると考える直感的な理解を「心でっかち」な考え方と呼んでいる。社会現象を理解するために、すべてを心の問題として置き換えるところから出発して、なぜそんな心の問題が生まれたんだろうと考えるやり方である。

「心でっかち」というのは、一人ひとりの気持ちや考え方である「心」がすべての原因だと考えることで、心と現実との間のバランスがとれなくなってしまっている状態である。心の持ち方さえ変えればすべての問題が解決すると考える「精神主義」がその極端な例である。

「心でっかち」は、私たちの常識の中に入り込んで、私たちが現実を見る目を曇らせてしまう。その結果、私たちは社会を正しく捉えることができなくなり、見当違いのやり方で社会問題の解決を図るようになってしまう。

「心でっかち」の典型は評論家の人たちである、特に現代社会の問題をすべて「心の荒廃」で説明できると考えている人たちである。「心でっかち」な社会の理解は、若い人たちに一種の「社会恐怖症」を生み出している。

社会は私たち自身が作り上げている

「心でっかち」のワナにはまらないためには、以下の2点が大切である。

①全体に目を向ける
②社会とは私たち自身が作り上げていることを理解する

人々がある期待を持って行動すると結局、その期待通りの結果が生まれてしまうことを「予言の自己実現」という。一人ひとりの行動が、まわりの人たちを予言通りに行動させるインセンティブを作ってしまう。

私たちはお互いに他の人の行動に反応しながら行動する。「社会」というのは、そこで生きている人にとって、ある仕方で行動せざるを得ないようにしているものである。そうしないと大変な目にあってしまう。
人々に一定の仕方で行動するようにうながしている「しがらみ」が、人々の行動そのものによって生み出されている状態が「社会」である。

つまり、ある社会現象が生まれるのは、みんながその現象を望んだからである。

世間がダメなら、社会で生きよう

社会というのは、人間たちが互いに勝手なことができないように、お互いにしばりつけあっている状態である。だから社会は秩序が保たれている。
しかし、社会では、自分で好きなように行動できないから息苦しい。自分が他人のいいなりになって、自分の存在が奪われてしまうような気がする。

現代の暮らしでは、気心のわからない人たちの間でも。周りの人たちの反応を気にしないといけない場所である世間が広くなってしまった。広がりすぎた世間の一部を、空気じゃなくて法律や契約といった形に置き換えた社会に変えていく必要がある。世間をうまく生きられないなら、社会で生きるようにすればいい。