企業が直面するパラダイムシフト
生活者はソーシャルメディアによる対話交流の場を得て、能動的な存在となった。商品の使用感、電話での顧客応対、店頭での顧客サービスなど、あらゆる顧客体験が日常的にシェアされる。近い将来、企業は以下のようなパラダイムシフトに直面する。
・不誠実さが通用しない、透明性の時代が訪れる
あらゆる企業、ブランドは生活者の審判を浴び、不誠実な言動がないか監視される。
・共感がパワーとなり、企業には人間性が回帰する
企業が発信するメッセージやサービスは、ソーシャルメディア上での伝播を意識したものになる。サプライズ、ワクワク感、人間らしさなど、感情に訴える共感クリエイティブが重要になってくる。
・生活者が企業のバリューチェーンに参加する
生活者との信頼関係を構築できた企業にとって、生活者はかけがえのないパートナーとなる。商品サービスの企画から販売、サポートまで、生活者はその知見を無償提供してくれる貴重な存在となる。
・大企業にオープン化の波が押し寄せる
大企業の強みである資本やブランドの相対価値が低下し、硬直化した組織や規制などによるデメリットが目立ってくる。
共感される会社になるためのポイント
①社会に対する自社の付加価値を見直すこと
ブランド哲学を全社員で共有し、オープンにすることが、共感企業の第一歩となる。
②顧客に対する貢献姿勢を明確にすること
一時的に会社の利益に反してでも、長期的には顧客の信頼を得ようとする考え方が大切になる。
③信頼される企業になること
自社ブランドのアイデンティティを明確にし、全ての顧客接点を通じて、言行一致を実践する必要がある。
④生活者と同じ目線で対話交流すること
生活者の声を傾聴し、誠実でオープンな姿勢で、同じ目線で対話することが大切である。
⑤社会に対する貢献姿勢を明確にすること
環境危機や貧困問題などへの貢献姿勢は、かつてないほど企業イメージに大きな影響を与えるようになった。
ソーシャルシフトするためのステップ
①ソーシャルメディアを運用するプロジェクトを発足させる
②ブランドのコンセプトを練り上げる
③コンセプトに沿って、すべての顧客接点を改善する
④生活者とオープンに対話できる場をつくる
⑤顧客の声を傾聴する仕組みを構築する
⑥社員の幸せと顧客の感動を尊ぶ社風を育む
Do the right thing
人として正しい行いがされるか。1人1人の社員が顧客とどう接するか。顧客の期待を上回るサービスを提供できるか。これらができて、ブランドは生活者に共感される。
現場の社員1人1人が、その場でいかに判断し、行動するか。その積み重ねがブランド価値を醸成していく時代になった。