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2012/03/29更新

「通貨」を知れば世界が読める (PHPビジネス新書)

  • 浜 矩子
  • 発刊:2011年5月
  • 総ページ数:221P

149分

2P

  • 古典的
  • トレンドの
  • 売れ筋の
  • すぐ使える
  • 学術系
  • 感動する
  • ひらめきを助ける
  • 事例が豊富な

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ドルは既に基軸通貨ではない

円ドル関係は1ドル50円が妥当である。日本がどうあれ、ドルを取り巻く状況が全く変化していないからである。その状況が、財政の問題である。アメリカはリーマン・ショックへの対応で、大量の公的資金投入やゼロ金利などの大型経済政策を次々と打ち出した。当然、財政赤字は深刻化する。

一方で、アメリカ経済は思うように回復してこなかった。ここでオバマ大統領が打ち出したのが「輸出倍増計画」である。これは、アメリカがドル安政策をとることの表明に他ならない。基軸通貨国であったはずのドルは、もはや自国のことしか考えられない事を明確に示している。

基軸通貨は「その国にとっていい事が世界中にとってもいい事であるという関係が成り立っている国の通貨」と定義される。よって、ドルは既に基軸通貨ではない。

基軸通貨というものは、世界で幅広く使われるので、流動性が十分でなければならない。同時に希少性によって価値を維持しなければならない。希少性と流動性を同時に満足させることは難しい。この流動性のジレンマは、今日のように経済も金融もグローバル化した時代において、克服するのは不可能である。

円は隠れ基軸通貨である

日本は世界最大の債権大国である。成長はできなくなったが、蓄積はある。長年、日本は超低金利状態の下に置かれてきた。その環境下で、円キャリートレードが円の海外展開の手段として機能した。このジャパン・マネーの流れが、リーマン・ショックの火種を作ったり、アジア通貨危機に向う力学を刺激してきた。円の「隠れ基軸通貨」的な側面の影響力は大きい。

1ドル50円になる理由

1ドル50円時代の到来を主張する理由は2つある。

①ドルの過大評価が修正される力学はもはや抗いがたい。
グローバル時代の到来が基軸通貨体制の土台を突き崩しつつある。この流れは、日本に何があろうと無関係に動き続ける。

②隠れ基軸通貨たる円は、簡単に手放せない構図ができている。
円が特段の人気通貨という訳ではないが、持っておかない訳にはいかない。

1ドル50円へのシナリオ

これからの注目点は、1ドル50円への展開がどのような形をとるのかという事である。急激に来れば来るほど打撃は大きい。その日から目を背けるのではなく、その日をいつにするのかを決めるくらいの構えで臨むことが妥当である。

・最善のシナリオ(協調型)
協調型で1ドル50円、即ちドル基軸時代の終焉を受け入れるには、「第二プラザ合意」が必要である。G20全員参加で軟着陸を実現する。そのような合意が整えば、最善である。

・最悪のシナリオ(襲来型)
国際社会が協調をとれないままドル安が進行する。通貨安競争に歯止めがかからなくなれば、各国は自国市場を囲い込むといった鎖国状態を目指す。