京都式経営とは
デフレ、円高により製造業の経営環境が悪化している。しかし、このような状況にあっても、京都の企業は高収益を生み出すことに成功している。京都の企業が高収益を上げられるのは、独創的な製品を持ち、各々の市場で優位を保っているからである。
京都企業には業種が違っても、以下の共通した特色がある。
①自らのビジネスにおいては独創性を重視する
独創性を重視する理由は、他都市と比べ、京都の企業環境が厳しいことが挙げられる。京都は市場規模が小さく、また四方を山に囲まれているため土地が限られており、大工場を作ることができない。つまり、京都は、小さな工場で多品種少量生産を行って付加価値の高い製品を生み出さねばならないという、厳しい環境に置かれている。
京都では企業が独自性を打ち出し、企業間の棲み分けを行ってきた歴史がある。こうした特性があったから、箱庭的な京都でも、多くの分野でユニークな企業が存在し得た。
そしてこの箱庭的環境を支えているのが、業種を横断した横のネットワークである。京都には、あらゆる分野の職人による異業種交流の歴史があり、経営者たちは話を聞きたいといえば、すぐに会える環境がある。
②昔から一流の職人を大事にし、付加価値の源泉が職人に存在すると考える。
京都では付加価値の源泉は職人、その人の中にこそ存在すると考える。例えば優れた料理人がいれば、必ずいい食材が入る。生産者側も本物を知っている料理人に食材を提供したいと考える。つまり、お店の付加価値の源泉は、職人を中心とした人的ネットワークにあるのである。
③自助独立の考え方と、皆で1つの方向に向かっていく精神が重視される。
京都では大工場が作れなかったため、分業制が発達し、部品の製作工程が、そのまま職人集団の単位になっていった。職人集団は、やがて優れた技術を持つ自立的な個人の集団をなしていった。
現代の京都企業においても、伝統産業のスピリットは受け継がれている。人間のきめ細かな技でないと生み出せない製品は昔ながらの方法で製作し、標準品では工業化を進めて効率的に生産を行っている。
現代は多品種少量生産の時代である。こうした時代には、顧客のニーズにきめ細かく対応し、さらに技術力を工業化することができる企業だけが生き残る。
人財の育て方
京都では人財や技術力、顧客とのリレーション、組織力など、目に見えない資産が大切にされる。堀場製作所では、特に人財を重視し、以下の教育コンセプトを持っている。
①基礎、基本をきちんと教える
②失敗を経験させる
③褒める
④本物を教える